近年、台風などの自然災害による大規模な停電が全国各地で深刻な問題となっています。こうした状況下で、住民の安全をいかに守るかが自治体の大きな課題です。石川県羽咋市は、この難局を乗り越えるための革新的な一歩を踏み出すことになりました。2019年12月26日、羽咋市は日産自動車および石川日産自動車販売と、電気自動車(EV)を災害時の電源として活用するための連携協定を締結します。
今回の試みは「走る蓄電池」としての電気自動車に注目したものです。SNS上では、最新技術を防災に役立てるこの取り組みに対し、「避難所でのスマートな支援だ」「ガソリン車にはない強み」といった期待の声が早くも寄せられています。電気自動車といえば環境に優しい乗り物というイメージが強いですが、非常時には命を繋ぐ貴重なエネルギー源へと姿を変えるのです。自治体と民間企業が手を取り合う姿は、現代の防災の理想形と言えるでしょう。
避難所の明かりと暖を確保する「日産リーフ」の底力
この協定の柱となるのは、日産の代表的な電気自動車である「日産リーフ」の貸与です。災害によって停電が発生した際、石川日産自動車販売から提供されるフル充電のリーフが避難所へと駆けつけます。ここで重要なキーワードとなるのが「給電」です。これは、車に蓄えられた電気を建物や家電製品に供給することを指します。この仕組みにより、避難所となる「邑知ふれあいセンター」では、電気が遮断されても照明や暖房器具を使い続けることが可能になります。
さらに、邑知ふれあいセンターにはあらかじめソーラーパネル(太陽光発電装置)が設置されています。日中は太陽の光で発電し、夜間や天候不順の際には電気自動車のバッテリーを活用するという、二段構えのエネルギー供給体制が整うのです。冬の寒さが厳しい石川県において、避難所で暖を取れることは肉体的にも精神的にも大きな支えになるはずです。2019年12月26日には、山辺芳宣市長や石川日産自動車販売の小杉雄二社長らが出席し、同センターで締結式が執り行われます。
編集者としての私の視点では、この取り組みは単なる車両の貸し出し以上の価値があると感じています。従来の防災は「備蓄」が中心でしたが、これからは電気自動車のように「日常的に使っているものを非常時に転用する」という考え方が主流になるでしょう。動く電源車が街中を走っているという安心感は、地域住民にとって何物にも代えがたいものです。羽咋市の決断は、他の自治体にとっても非常に先進的なロールモデルとなるに違いありません。
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