「書く」という日常の営みを支え続けてきたあのロングセラー商品が、新たな進化のステージへと踏み出します。油性ペンや水性ペンの製造販売で知られる寺西化学工業株式会社(大阪市)は、島根県出雲市に最新鋭の生産拠点を構築することを決定しました。大阪府守口市にある既存工場の老朽化に伴い、生産体制を抜本的に強化するための戦略的な移転プロジェクトが動き出しています。
すでに建設プロジェクトは始動しており、2020年9月の操業開始を目指して準備が着々と進められています。驚くべきは、その圧倒的な生産能力の向上でしょう。新工場の稼働により、生産力は現在の約2倍にまで引き上げられる見通しです。SNS上では「あのマジックインキの工場が出雲にくるなんて」「日本のものづくりが活性化するのは嬉しい」といった期待に満ちた声が数多く寄せられています。
島根ナカバヤシとの強力タッグで地域経済を活性化
今回の移転は、2018年に締結されたナカバヤシとの業務提携が大きな鍵を握っています。提携の一環として、生産子会社である島根ナカバヤシの敷地内を借りる形で、延べ床面積約2700平方メートルの鉄骨平屋建て工場が誕生します。投資総額は約7億6500万円にのぼり、操業時には11人の新規雇用も計画されており、地域における新たな雇用創出の場としても大きな注目を集めている状況です。
ここで、寺西化学の主力製品について触れておきましょう。同社は、内田洋行が商標権を保有する「マジックインキ」の製造を担う中心的存在です。マジックインキとは、あらゆる素材に書くことができ、速乾性と耐水性に優れた筆記具の総称であり、日本の戦後復興を支えた伝説的なプロダクトといえます。そんな歴史的価値のある文具が、出雲の地で最先端の技術によって生み出されるようになるのです。
2019年12月18日には、島根県および出雲市との間で立地に関する覚書が締結されました。自治体側もこの動きを強力にバックアップしており、島根県から約1億2600万円、出雲市からは約8200万円の助成が行われる予定となっています。行政と企業が手を取り合う姿は、地方創生の理想的なモデルケースといえるのではないでしょうか。編集者としても、この投資がもたらす波及効果には非常にポジティブな印象を持っています。
中林一良社長は「海外展開や新製品の開発に積極的に取り組みたい」と、今後の展望を力強く語っています。デジタル化が進む現代だからこそ、アナログな筆記具が持つ「温かみ」や「表現の自由度」が見直されています。新工場の設立は、単なる拠点の移動ではなく、日本の文房具文化を世界へ発信するための大きな助走期間といえるでしょう。2020年の操業が、今から非常に待ち遠しく感じられます。
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