2019年12月21日、政府は2020年度の予算案をまとめ、私たちの暮らしを脅かす自然災害への備えを一段と強化する方針を打ち出しました。今回の予算における最大の注目点は、水害対策に対して計上された6247億円という巨額の予算です。これは前年度の通常分と比較して約44%も増加しており、相次ぐ大型台風や豪雨被害を背景に、国が「国土強靱化」へ本腰を入れた証といえるでしょう。
SNS上では、この予算増額に対して「これだけ雨の降り方が変われば当然の措置」「既存の設備をどう活かすかが鍵になりそう」といった、切実な期待の声が数多く寄せられています。特に、人口が密集し被害が深刻化しやすい「海抜ゼロメートル地帯」における対策は急務です。そこで政府は、非常に幅が広く、万が一決壊しても壊滅的な被害を防げる「高規格堤防(スーパー堤防)」の整備を強力に推進していく構えです。
ダムに頼らない?川底掘削と利水ダムの「ハイブリッド治水」
今回の予算案で非常に合理的なアプローチだと感じさせるのが、ダム建設に固執しない柔軟な姿勢です。ダムは治水の要ですが、適地の不足や莫大なコスト、そして完成までの長い年月が課題となります。そこで注目されたのが「川底掘削」です。これは川の底を削って水が流れるスペースを広げる手法で、環境への配慮は必要ですが、コストを抑えつつ即効性のある氾濫防止効果が期待できます。
さらに、発電や農業のために水を使っている「利水ダム」を治水に活用する新しい仕組みも動き出します。大雨が予想される際、事前放流によって水位を下げておき、洪水を受け入れる空き容量を作る協力体制を構築するのです。協力によって生じる損失を国が補填する制度を創設することで、官民一体となった「流域治水」が実現します。こうした既存インフラのポテンシャルを最大限に引き出す戦略は、現代日本において極めて賢明な選択でしょう。
首都直下・南海トラフを見据えた地震対策とインフラ老朽化の壁
水害だけでなく、将来必ず来るとされる首都直下地震や南海トラフ巨大地震への備えも加速しています。2020年度予算案では、公共施設の耐震化や帰宅困難者対策などに2303億円が盛り込まれました。特に注目すべきは、港湾を活用した海上からの支援ルート確保です。陸路が寸断された際の「命の道」として、海のインフラを再評価する動きは、島国である日本にとって非常に心強い対策であると私は考えます。
一方で、避けて通れないのが高度経済成長期に造られた橋や道路の「老朽化問題」です。建設から50年以上が経過する橋の割合は、今後10年で全体の約25%から50%へと倍増します。緊急時の避難路や物資輸送路となる橋が崩落しては元も子もありません。政府は地方自治体のメンテナンスを個別に支援する補助制度を創設し、2223億円を投じて集中的な修繕を行う計画です。安全への投資は、決して無駄にはならない未来への布石なのです。
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