私たちの生活やビジネスに欠かせない「クラウド」の裏側で、いま巨大な地殻変動が起きています。2019年12月04日現在、東京や大阪の近郊では、空前のデータセンター(DC)建設ラッシュが続いています。街を歩けば、巨大な要塞のような建物が次々と姿を現しており、その熱気はとどまる所を知りません。
SNS上でも「近所に窓のない謎の巨大ビルが建った」「ITインフラの需要が凄まじい」といった驚きの声が広がっています。このブームを牽引しているのは、従来の国内IT企業だけではありません。圧倒的な資金力とスピード感を武器にした、米デジタル・リアルティや米エクイニクスといった外資系専業プレイヤーたちが、日本市場へ怒涛の投資を仕掛けているのです。
2022年には1.7兆円市場へ!クラウドが塗り替えるDCの常識
調査会社によると、国内DCサービス市場は2022年には1.7兆円を超える規模に達すると予測されています。ここで注目すべきは、中身の変化です。2020年には、従来のサーバー貸し出し業務を、柔軟な拡張性を持つ「クラウド系DC」が追い抜く見通しとなりました。まさに、ITインフラの主役が交代する歴史的な転換点を迎えているといえるでしょう。
この背景には、あらゆるモノがネットに繋がる「IoT」や、高度なデータ分析を行う「AI」の普及があります。企業が扱うデータ量は爆発的に増え、自前でサーバーを抱えるよりも、必要な時に必要な分だけ計算能力を確保できるクラウドの方が圧倒的に効率的だからです。この巨大な需要を支えるため、アマゾンやグーグルといった「ハイパースケーラー」と呼ばれる超巨大IT企業たちが、日本の地を求めて争奪戦を繰り広げています。
外資系専業メーカーの圧倒的パワーと「相互接続」の魔法
外資系勢の攻勢は目を見張るものがあります。例えばMCデジタル・リアルティが大阪府箕面市に新設した「KIX11」は、関西最大クラスの電力を誇るメガデータセンターです。ここでは「ポッド」と呼ばれる、電源や空調が独立した空間を構築しており、一部で障害が起きても全体には影響を与えない鉄壁の運用を実現しています。こうした安定性が評価され、稼働前から大手クラウド事業者との契約が埋まる人気ぶりです。
一方、都市型DCで存在感を放つのがエクイニクスです。彼らの武器は「インターコネクション(相互接続)」です。これは、インターネットを通さずに企業同士のサーバーを専用線で直接つなぐ技術です。これにより、ネットの混雑に左右されない超高速・高セキュリティな通信が可能になります。金融機関やIT大手がこぞって彼らの施設を選ぶのは、この「つながりやすさ」に最大の価値があるからです。
私個人の視点として、この外資系参入の波は、日本のデジタル競争力を底上げする劇薬になると感じています。彼らの投資判断は驚くほど速く、かつ世界標準の高品質なインフラを惜しみなく投入してきます。かつては国内ベンダーが中心だったこの業界も、今やグローバルな投資競争の最前線です。日本が「データのハブ」として生き残れるか、その鍵はこれら巨大要塞の集積にかかっていると言っても過言ではありません。
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