新しい職場に足を踏み入れる瞬間は、誰しもが緊張と期待に胸を膨らませるものです。2019年12月05日、転職エージェントの第一人者である森本千賀子氏は、転職や異動先でいかに早く周囲と打ち解けるかという課題に対し、非常にシンプルかつ強力な解決策を提示しました。それは「ランチ」と「飲み会」という、日常の食事の場を戦略的に活用することです。
まずは、最も手軽なコミュニケーションの場であるランチから攻略しましょう。「皆さんは普段、お昼はどうされているのですか?」という一言は、会話のきっかけとして非常に自然です。社員食堂や外食、お弁当など、その会社の文化を知る絶好の機会になります。SNSでも「ランチの誘い方ひとつで、その後の情報の入り方が変わる」という声が多く、食の話題は共通言語として最強の武器になるようです。
ランチの最大のメリットは、オフィスでは見えにくい「パーソナリティー」、つまり個人の人となりをアピールできる点にあります。ここでは仕事の話をあえて控え、趣味や休日の過ごし方など、プライベートな話題を自分からオープンにしてみましょう。自己開示をすることで相手の警戒心が解け、今後の業務を円滑に進めるための有益な情報が自然と集まってくる好循環が生まれるでしょう。
相手のニーズに応える「自己開示」の作法
会話においては、相手が自分に対して何を求めているか、いわゆる「ニーズ」を察知することも大切です。特に「なぜ転職したのか」という問いは、多くの同僚が抱く関心事でしょう。ここで曖昧にはぐらかすと、不信感を生んでしまう恐れがあります。守秘義務や前職の不満に触れない範囲で、誠実に本音を語ることで「あなたを信頼しています」というメッセージを届けることができるのです。
また、外部の視点から今の職場の「良さ」を伝えることも効果的です。ずっと同じ会社にいる人にとっては当たり前の環境も、新しく入った人から見れば魅力的なナレッジ共有の仕組みであったり、フラットな組織体制であったりすることがあります。自尊心をくすぐるポジティブなフィードバックは、あなたの印象を一気に高め、「この人なら一緒にやっていけそうだ」と確信させるでしょう。
飲み会は社内の「暗黙知」を学ぶ絶好のチャンス
終業後の飲み会に対しては、最近ではプライベートを優先したいという価値観も広がっていますが、入社初期に限っては積極的に参加することをお勧めします。お酒の席は、ランチ以上に互いの心理的距離が縮まる場です。ここでは「暗黙知」、つまりマニュアルには載っていない社内の力関係や、キーパーソンの特徴といった貴重な情報を収集することができます。
飲み会の場では、単に自分が話すだけでなく「聞き上手」に徹することがポイントです。相手の話に丁寧な相槌を打ち、場を盛り上げる姿勢を見せることで、「また次も呼びたい」と思われる存在になれます。まずは信頼関係を築くことに注力し、職場に十分馴染んだ段階で、徐々に自分本来の生活スタイルに戻していくのが、賢いプロフェッショナルの振る舞いと言えるでしょう。
私自身の見解としても、ビジネスの成果はスキルの高さだけでなく、こうした「関係性の構築力」に大きく左右されると感じます。特に入社直後の振る舞いは、その後の数年間を決定づける大切な投資です。2019年12月05日現在の視点で見ても、デジタル化が進む中でこうしたアナログな対面コミュニケーションの価値は、むしろ希少性を増しているのではないでしょうか。
コメント