原油価格が3カ月ぶりの高値を記録!産油国の減産サプライズと米中合意で市場は強気も、2020年の供給過剰リスクに警戒感

原油市場が活気づいています。国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、2019年12月20日の取引で1バレル61ドル前後まで上昇しました。これはサウジアラビアの石油施設が攻撃された9月中旬以来、約3カ月ぶりの高値水準です。12月に入ってからわずか20日間で約9%もの急騰を見せており、冷え込んでいた市場心理が一気にポジティブへと傾いたことが背景にあります。

今回の力強い上昇を後押ししたのは、産油国による予想外の「減産拡大」でした。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成される「OPECプラス」は、2019年12月6日の会合で、2020年1月から減産規模を日量50万バレル上積みすることを決定したのです。市場では現状維持が妥当との見方が強かったため、この決定は大きな驚きをもって迎えられました。産油国が本気で価格を下支えしようとする姿勢が、投資家の背中を押したと言えるでしょう。

さらに追い風となったのが、世界経済の足かせとなっていた米中貿易協議の「第1段階の合意」です。これによって、停滞していた物流や製造業のエネルギー需要が回復するとの期待が膨らみました。SNS上でも「景気回復の兆しが見えてきた」「原油の買い時か」といった前向きな声が目立ち始めています。実際に、大口投機筋による買越残高は2019年12月10日時点で約半年ぶりの高水準に達しており、マーケット全体が強気ムードに包まれている状況です。

スポンサーリンク

楽観ムードの裏に潜む「高値警戒感」と供給過剰の火種

しかし、この上昇相場がどこまで続くかについては慎重な見方も根強く残っています。注目すべきは、現在の価格構成が「期近高・期先安」の状態にあることです。これは目先の値上がり期待は高いものの、将来的な見通しについては弱気であることを示唆しています。実際、2020年2月物が5ドル以上上昇したのに対し、2020年11月物の伸びは半分程度に留まっており、投資家が長期的な上昇に対して確信を持てていない様子が伺えます。

その懸念の正体は、米国のシェールオイルをはじめとする非OPEC諸国の増産基調です。せっかくOPEC側が身を削って減産しても、他国が生産を増やせば市場には原油が溢れてしまいます。また、減産合意を守らない加盟国の存在も不透明感を強めています。米中合意も一部の関税引き下げに留まっており、貿易摩擦の本質的な解決には至っていません。私個人としては、目先の需給バランスよりも、こうした構造的な供給過剰リスクの方が重荷になると考えています。

2019年の締めくくりに向け、取引量が減る年末年始は利益確定の売りが出やすい時期でもあります。2019年4月に記録した年初来高値の66.60ドルという壁は非常に高く、そこへ到達するにはさらなる強力な好材料が必要でしょう。今の相場は期待が先行しすぎている危うさも含んでおり、冷静な見極めが求められる局面です。浮かれたムードに流されず、2020年初頭の実需を注視していく必要があると私は確信しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました