2019年12月21日現在、私たちは人類の長い歴史においても類を見ない「超低金利」という異例の事態に直面しています。長期金利の指標である10年物国債の利回りは、日本や欧州の主要国でマイナス圏を漂い、米国でも1%台後半という極めて低い水準にあります。この数千年来の異常事態を指して「債券バブル」と呼ぶ声も多いですが、この金利低下の流れは実は1970年代後半から約40年もの間、絶え間なく続いているのです。
ネット上では「貯金してもお金が増えないどころか、マイナスなんて信じられない」といった驚きの声や、「資産形成のルールが根本から変わってしまった」という戸惑いの意見が数多く見受けられます。1970年代は欧米を中心にインフレ、つまり物価が上がり続ける現象が猛威を振るい、金利もインフレ率も2桁が当たり前という時代でした。当時を知る世代からすれば、今の状況はまさに魔法にかけられたかのような逆転現象と言えるでしょう。
「日本化」が世界を席巻する40年間の潮流
1990年代以降、日本が先行して経験してきた金利低下は「ジャパニフィケーション(日本化現象)」と呼ばれ、かつては特殊な例とされていました。しかし今やその波は欧米にも波及し、世界中が日本と同じような低成長・低金利の罠にはまっています。この40年にわたる潮流の起点は、為替相場の変動制への移行や、国家の介入を最小限にする「新自由主義」への転換、そして通貨供給量を操作して経済を操る「マネタリズム」への傾倒にありました。
各国の中央銀行は「物価上昇率2%」という目標を掲げ、なりふり構わぬ金融緩和を繰り返してきました。特に日本と欧州が導入した「マイナス金利政策」は、自国通貨の価値を下げることで輸出を有利にし、景気を底上げしようとする苦肉の策です。しかし、この過剰なマネーの供給が、結果として世界的な金利の消滅を招きました。中央銀行が市場にお金を流し込みすぎることで、お金の希少価値が失われてしまったのが現在の姿なのです。
2020年代に訪れる「財政政策」への回帰
歴史をさらに40年遡ると、1930年代の世界大恐慌に突き当たります。当時は金融緩和の暴走が悲劇を招き、その反省から戦後は政府が公共事業などでお金を動かす「ケインズ政策」が主流となりました。現代の私たちは、再びその大きな転換点に立っているのかもしれません。最近注目を集めている「MMT(現代貨幣理論)」は、自国通貨を持つ国は破綻を恐れず財政出動ができるという考え方ですが、これも金融政策の限界を感じたゆえの反動と言えます。
私自身の見解としては、行き過ぎたマイナス金利は資産を持つ者と持たざる者の格差を広げ、社会の歪みを大きくしていると感じます。2020年がすぐさま完全な転換点になるとは限りませんが、2020年代は間違いなく「40年サイクル」の是非が問われる10年になるでしょう。かつての戦後体制のような財政重視の時代に戻るのか、それとも全く新しい経済の形を模索するのか。私たちは今、まさに歴史が動くその瞬間に立ち会っているのです。
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