本来であれば美味しく食べられるはずなのに、さまざまな理由で捨てられてしまう「食品ロス」が現代社会の大きな課題となっています。こうした問題に真っ向から立ち向かうべく、東京・港区に拠点を置くスタートアップ企業のバリュードライバーズが、画期的なサービスをさらに加速させています。2019年10月に食品ロス削減推進法が施行されたことを受け、官民一体となった取り組みが求められる中、同社は単なる削減に留まらない付加価値の創出を目指しているのです。
彼らが運営する「たべるーぷ」は、2018年に産声をあげた会員制の通信販売サイトです。形が不揃いな「規格外」の野菜や、品質には問題ないものの賞味期限が迫った加工食品などを中心に扱っています。現在、1万人を超える一般消費者や飲食店の方々が登録しており、その輪は着実に広がっているようです。SNS上でも「安く買えて社会貢献もできるのは嬉しい」といったポジティブな反響が目立っており、エシカルな消費を求める層の心を掴んでいます。
特筆すべきは、同社のビジネスモデルに組み込まれた社会貢献の仕組みでしょう。出品者の売上から徴収する15%の手数料のうち、その一部を世界の飢餓対策に寄付する取り組みを行っています。消費者がお得に買い物をすることが、巡り巡って地球規模の課題解決に繋がるという構造は、非常に現代的でスマートな選択肢だと言えるのではないでしょうか。こうした透明性の高い還元システムこそ、信頼を勝ち取る鍵になると私は確信しています。
マンションが市場に?「たべるーぷマルシェ」が繋ぐ生産者と消費者の絆
ネット上での展開に加えて、同社はリアルの場での周知活動にも力を入れ始めました。その代表例が、JA全農や三井不動産レジデンシャルと提携して実施された「たべるーぷマルシェ」です。東京都心の分譲マンション共用部という、住民にとって非常に身近な場所で、本来なら廃棄されるはずだった野菜の対面販売が行われました。生産者が直売所から引き取って捨てていた産品が、都市部の食卓を彩る一品へと生まれ変わったのです。
実際に購入した方々からは「食品ロスを身近に感じる良い機会になった」と好評を博しており、教育的な側面でも大きな成果を上げています。2019年12月25日現在、この取り組みは順次拡大中で、2020年には地方都市での開催も予定されているとのことです。生産者の収益を確保しながら、消費者の意識を変えていくこの試みは、持続可能な社会を築くための理想的なモデルケースとして今後さらに注目を浴びるでしょう。
さらに、生鮮食品の「足の早さ」という弱点を克服するため、水産物や農産物の加工事業にも着手しています。飲食店運営のゲイト社と協力し、三重県熊野市に加工拠点を設立しました。ここでは単に魚を冷凍するだけでなく、定置網漁の体験とセットにした「2万円のアジフライ」という体験型商品も展開しています。単なる「もったいない」の救済ではなく、ストーリー性を付加して価値を最大化させる戦略は、非常に鋭い視点です。
「食品ロス削減」という言葉が一般化する一方で、私たちはまだどこか他人事として捉えてしまいがちです。しかし、バリュードライバーズのように、食の現場と私たちの生活圏をワクワクするような形で繋ぐプレイヤーが増えることで、社会はもっと豊かになるはずです。加工による賞味期限の延長や全国への拠点展開など、彼らが描く未来図からは、食を通じた豊かな循環社会への強い意志を感じずにはいられません。
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