米中対立という長いトンネルの出口が見えない一方で、日中関係は冷え込んだ冬を乗り越え、春の訪れを感じさせる変化を見せています。2019年12月23日から25日にかけて訪中した安倍晋三首相は、習近平国家主席と会談し、2020年春に予定される国賓としての来日を「極めて重視している」と伝えました。
これに対し、習氏は「新時代」という言葉を重ね、両国の協力を一段上のステージへ引き上げる意欲を隠しませんでした。ネット上では「関係改善は歓迎だが、尖閣諸島の問題はどうなるのか」といった冷静な声や、米国との足並みの乱れを懸念する書き込みが相次いでおり、国民の関心の高さがうかがえます。
日米中の歴史的なねじれ現象
かつての冷戦期、米中はソ連という共通の敵を前に「準同盟」とも呼べる蜜月を築いていました。日本にとっての恐怖は、米中が頭越しに手を組む「ジャパン・パッシング(日本素通り)」だったのです。しかし現在は、米国が中国を敵視する中で日本が接近するという、極めて珍しい逆転現象が起きています。
中国が日本に歩み寄る背景には、トランプ政権との対立を回避する狙いがあるのは明白でしょう。しかし、それだけではありません。中国首脳部は日米同盟にくさびを打ち込むため、2014年秋ごろから戦略的に対日関係の修復を進めてきたのです。この「静かなる接近」は、習氏の来日後も継続すると予想されます。
試される「同盟の絆」と日本のジレンマ
ハイテク覇権を巡る争いは、今後10年以上続く深刻な構造的対立となるはずです。米国は今後、重要インフラからの中国企業排除や、先端技術研究における協力停止を日本にも強く求めてくるでしょう。ここで日本が米国に同調しすぎれば中国が激昂し、逆に躊躇すればワシントンとの信頼にヒビが入ります。
私は、今こそ日本は「八方美人」を卒業すべきだと考えます。国家の安全保障を米国に依存している以上、最優先すべきは日米の基軸を揺るがさないことです。戦前の日独伊三国同盟という痛恨の失敗から学ぶべきは、組む相手を見誤ることの恐ろしさであり、曖昧な態度はかえって国益を損なうリスクを孕みます。
国賓来日を「外交の武器」に変える知恵
香港情勢やウイグル問題への国際的な批判が高まる中、習氏を国賓として礼砲で迎えることには、米国内からも厳しい視線が注がれるかもしれません。それでも、巨大な隣国と常に一触即発の状態にあることは、日本の国力を著しく消耗させます。日米関係を壊さない「一線」を見極めつつ、対話を進めるのが上策です。
具体的には、2008年に合意しながら進展していない東シナ海のガス田共同開発の着手や、軍事衝突を避けるための「ホットライン(緊急連絡網)」の構築など、地域の安定に直結する成果をもぎ取るべきでしょう。習氏が成功を渇望する今こそ、日本は外交上の優位を最大限に活用すべき時なのです。
コメント