日本のインフラとも言えるコンビニ業界が、今まさに大きな曲がり角を迎えています。ファミリーマートは2020年3月より、全国の加盟店が「24時間営業」を続けるか、あるいは「時短営業」に切り替えるかを自由に選択できる新制度を導入することを決定しました。深刻な人手不足による人件費の高騰は、現場を支えるオーナーの経営を圧迫しており、24時間眠らない街の象徴であったビジネスモデルの再考が迫られているのです。
ファミリーマートの沢田貴司社長は、これまでの本部主導のあり方を深く反省されています。競合の激化や少子高齢化によって市場の成長が鈍化する中、実際にリスクを背負って商売をしている加盟店オーナーの不安を、サラリーマン組織である本部が十分に汲み取れていなかったと語りました。変化に対応することが信条のコンビニ業界ですが、まずは本部自身の意識改革が必要だという強い覚悟が、今回の大きな決断に繋がったのでしょう。
時短営業の広がりは、決まった時間に商品を届けるという効率的な物流網や工場の生産体制に少なからず影響を及ぼします。しかし、沢田社長は「加盟店の成長なくして本部の成長はない」と言い切ります。SNS上でも「店主の健康や生活が守られるべき」「無理な営業は持続可能ではない」といった共感の声が目立っています。短期的には収益への打撃が予想されますが、現場を救うための英断は、長期的にはブランドの信頼を高めるはずです。
店舗数や営業時間が限られる中で成長を続ける鍵は、徹底した「地域密着」にあります。全国一律のサービスではなく、それぞれの地域で今何が求められているのかを深掘りし、顧客との信頼関係を築き直すことが商売の原点だという考えです。また、スマートフォンや自動車関連などの汎用品(コモディティー)を、身近なコンビニで手軽に購入できる環境を整えることも、これからの重要な戦略となってくるでしょう。
さらに、商品そのものの魅力を高めるための構造改革も進行中です。専門的な知見を持つ人材を育成し、メーカー機能すら内包する圧倒的な「商品力」を磨き上げることで、他社との差別化を図ります。ITによるイノベーションも欠かせません。米国のウォルマートがデジタル化で成功を収めているように、ファミリーマートもIT人材への投資を加速させ、最新技術で小売業のルールを塗り替える「ゲームチェンジ」を狙っています。
コンビニの役割は、単なる24時間の利便性提供から、より効率的で人間味のあるサービスへと進化すべき時期に来ています。セルフレジなどの省力化技術を駆使し、過剰なサービス競争から脱却することは、今の日本社会にとって不可欠なステップです。2019年12月28日、沢田社長が示したビジョンは、加盟店と共に歩む「共存共栄」の精神であり、それこそがこれからのコンビニが輝き続ける唯一の道ではないでしょうか。
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