2019年は、千葉県にとってあまりにも過酷な試練の年として記憶されることでしょう。9月の台風15号を皮切りに、10月の台風19号、そして追い打ちをかけるような10月25日の記録的な大雨と、わずか2ヶ月の間に3度もの大規模災害が押し寄せました。その爪痕は深く、2019年12月26日時点での住宅被害は7万410棟という驚異的な数字に達しています。
被災地では深刻な人手不足により、壊れた屋根の修理すらままならない光景が広がっています。森田健作知事が「多くの県民が不安を抱えながら年を越すことになる」と沈痛な面持ちで語るように、日常を奪われた方々の苦悩は計り知れません。SNS上でも「いつになったら元の生活に戻れるのか」「ブルーシートの景色が消えない」といった、切実な悲鳴が今もなお相次いで投稿されています。
経済への打撃も深刻で、中小企業の被害額は推計305億円にのぼります。単なる設備の損壊に留まらず、長期化した停電や断水によって事業活動がストップしたことによる「機会損失」が追い打ちをかけました。機会損失とは、本来得られたはずの利益を逃してしまうことを指す専門用語ですが、これが蓄積することで、長年地域を支えてきた事業者が廃業を検討せざるを得ないという、悲しい現実が浮き彫りになっています。
さらに、農業や水産業の被害額は450億円を超えました。強風でなぎ倒されたビニールハウスや畜舎の被害は県内全域に及び、一度は復旧を決意した生産者が、続く台風19号で再び施設を破壊され、心を折られてしまうケースも少なくありません。私たちは、食の宝庫である千葉の生産基盤が、今まさに崩壊の危機に瀕しているという事実に、もっと危機感を持つべきではないでしょうか。
こうした苦境の中で露呈したのが、行政の初動対応の遅れでした。台風15号の際、県が当初把握していた被害はわずか200棟程度で、事態を過小評価したことがその後の混乱を招きました。物資の輸送についても、協定を結んでいたはずのトラックが手配できず、市町村が自ら備蓄倉庫へ取りに行くという「プッシュ型支援」とは程遠い状況となり、県民からは厳しい批判の目が向けられています。
さらに追い打ちをかけたのが、10月25日の大雨による土砂災害です。犠牲者が出た場所が、本来危険を周知するための「土砂災害警戒区域」に指定されていなかった事実は、平時の備えの甘さを象徴しています。県は、地権者への説明を優先するあまり手続きが遅れたと説明していますが、尊い命を守るためのスピード感が欠如していたことは否定できないでしょう。
これまで千葉県は、東日本大震災の経験から地震対策に注力してきましたが、想定を超える風水害のリスクを完全に見誤っていました。温暖化の影響により、かつての「想定内」はもはや通用しません。今回の教訓を単なる反省に終わらせず、2020年は常に最悪の事態を想定した、強固な防災システムを再構築することが、私たちに課せられた急務であると強く確信しています。
コメント