2019年も幕を閉じようとしていますが、今年の地銀業界を最も揺るがしたニュースといえば、千葉銀行と横浜銀行による「千葉・横浜パートナーシップ」の締結でしょう。2019年7月10日、東京都内のホテルで両行の頭取が並び立った記者会見は、今後の地方銀行の在り方を占う大きな転換点となりました。この提携は、単なる事務の共同化を超えた、トップランナー同士の野心的な試みとして注目されています。
驚くべきは、この巨大プロジェクトが2019年3月末の「酒席での語らい」から始まったというエピソードです。しかし、その親しみやすいきっかけとは裏腹に、打ち出された目標は非常に現実的かつ具体的です。5年間で200億円という膨大な連携効果を見込んでおり、2019年9月24日までには既に11件もの協調融資を実行するなど、そのスピード感は他の追随を許しません。
SNS上では「ライバル同士が手を組むなんて、いよいよ銀行も本気だ」「メガバンクに対抗する勢力になるのでは」と、驚きと期待が入り混じった声が多く見られました。特に、これまで地域を守ってきた銀行が、お互いの強みを活かして外貨を稼ぎに行くという攻めの姿勢に、多くのビジネスマンが感銘を受けているようです。既存の枠組みを壊す勇気が、今の停滞した市場には必要だったのかもしれません。
フィンテック時代の荒波と都内市場への野心
なぜ、首都圏の雄である両行が今、これほどまでに危機感を募らせているのでしょうか。そこには、金融(Finance)と技術(Technology)を融合させた「フィンテック」の台頭があります。従来の「お金を貸す」というビジネスモデルだけでは、ITを駆使して柔軟なサービスを展開する新興企業には太刀打ちできません。だからこそ、両行はコンサルティング能力の強化へ舵を切ったのです。
さらに、避けて通れないのが人口減少の問題です。千葉県内は2019年12月28日現在こそ人口増を保っていますが、将来的には減少へと転じる予測が出ています。この不安を払拭するために、両行が狙いを定めたのが東京という巨大マーケットです。2019年10月に千葉銀行が武蔵野銀行と池袋に共同店舗を設けたことからも、都内攻略が生き残りの生命線であることが伺えます。
私は、この提携が「地銀のあり方」を根本から変えると確信しています。単にコストを削るための守りの合併ではなく、異なる文化を持つ銀行が知恵を出し合うことで、新しい価値が生まれるはずです。2019年12月2日に渋谷へ開設された共同拠点は、異業種との連携を加速させるための前線基地となるでしょう。そこから生まれるデジタルサービスが、私たちの生活をより豊かに変えてくれることを期待せずにはいられません。
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