佐世保のソウルフード!「甘いマヨネーズ」が誘う魅惑のサンドイッチとご当地バーガーの秘密

九州といえば甘口の醤油が有名ですが、長崎県佐世保市にはそれ以上に市民を熱狂させる「甘い調味料」が存在します。それは、驚くほどまろやかでコク深い「甘いマヨネーズ」です。初めて耳にする方はその組み合わせに戸惑うかもしれませんが、一度口にすれば最後、中毒性のある美味しさの虜になってしまうことでしょう。

2019年12月14日、私はその味を確かめるべく、佐世保市の中心に位置する老舗百貨店「佐世保玉屋」へと足を運びました。1階にあるサンドイッチ直売店「ラビアンローズ」の前には、週末ということもあり、名物の味を求める人々の列が絶え間なく続いています。ここでは2人前のミックスサンドが、飛ぶように売れていくのです。

箱を開けると、そこには色鮮やかで可愛らしい一口サイズのサンドイッチが整然と並んでいます。最大の特徴は、具材の間から溢れんばかりに顔を出す、少し緩めのマヨネーズです。手に取ると今にも滴り落ちそうなほどたっぷりと塗られており、慌てて口に放り込むと、優しい甘みが一気に広がっていきました。

この「甘いマヨネーズ」は、単に砂糖を加えただけのような、くどい甘さではありません。野菜や卵の素材本来の旨味を引き立てる絶妙なバランスで、後味は驚くほど軽やかです。1963年の発売以来、半世紀以上にわたって愛され続けるこの味は、多い日にはなんと1日6000箱も売り上げるというから驚きです。

スポンサーリンク

企業秘密のレシピと一子相伝の技が守る伝統の味

運営元の栄食品で課長を務める福田智之さんによれば、ベースとなる市販のマヨネーズに独自の調味料を加えて仕上げるそうですが、その詳細は門外不出の企業秘密です。毎日20キログラムほど仕込まれるこのソースを調整できるのは、熟練の店員わずか1人のみという、まさに「一子相伝」の技術なのです。

サンドイッチを構成する具材は、ハム、キュウリ、レタス、卵、トマトと非常にシンプルですが、自家製の8ミリ厚の食パンとの相性は完璧に計算されています。SNS上でも「これじゃないと満足できない」「帰省したら必ず食べる」といった熱い投稿が目立ち、まさに佐世保市民のアイデンティティの一部となっています。

地元の方々の中には、自宅でハチミツや練乳を混ぜて再現を試みる熱烈なファンもいるようですが、やはりお店の味には辿り着けないといいます。マヨネーズの酸味を抑え、まろやかさを極限まで高めたこの風味は、長崎の食文化が生んだ一つの到達点と言っても過言ではないでしょう。

佐世保バーガーにも息づく「甘いソース」の歴史文化

佐世保のグルメといえば「佐世保バーガー」も外せません。2001年の町おこしをきっかけに全国区となったこのハンバーガーですが、実はここにも甘いマヨネーズの文化が息づいています。注文を受けてから手作りするという定義に加え、多くの店舗で甘めの味付けが採用されているのが特徴です。

人気店「ハンバーガーショップ ヒカリ」では、1973年の創業時から砂糖やみりんを加えた独自のソースを使用しています。鎖国時代、出島を通じて砂糖が輸入されていた長崎において、砂糖はかつて富の象徴でした。甘いものを好む土地柄が、このユニークで豊かな食文化を育んできたのです。

私は、この甘いマヨネーズこそが佐世保のホスピタリティそのものだと感じます。貴重な砂糖をふんだんに使い、客を喜ばせようとした先人の知恵が、今も現代人の心を掴んで離しません。歴史の重みを感じながら、箱に残ったソースまでパンで拭って完食したくなる、そんな幸せな体験がここにはあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました