Google創業者ラリーとセルゲイが退任!「悪にならない」という理想と経営の仕組み化が遺したもの

インターネットの世界を塗り替えた米グーグルの創業者、ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が2019年12月3日、共に46歳という若さで経営の第一線から退くことを発表しました。持ち株会社アルファベットの株価がこのニュースを受けても動揺しなかった事実は、彼らが21年間かけて築き上げた「属人性に頼らない経営」が完成した証と言えるでしょう。

スタンフォード大学の博士課程で出会った二人が1998年に起業して以来、グーグルは常に革新的な仕組みを世に送り出してきました。創業からわずか3年で、業界のベテランであるエリック・シュミット氏を最高経営責任者(CEO)に招いた決断は、シリコンバレーで一般的だった創業者による独裁体制を否定し、役割分担を明確にする「大人の経営」への大きな一歩でした。

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世界中のスタートアップが模倣した「再生可能な仕組み」

彼らが導入したユニークな制度は、今や多くの企業のスタンダードとなっています。例えば、全業務時間の20%を本業以外に充てる「20%ルール」や、金曜夕方にビールを片手に社員と対話する「TGIF」などは有名です。これらは、特定の天才に依存せず、組織全体でイノベーションを継続させるための「再生可能な仕組み」として、多くの新興企業に希望を与えました。

SNS上では「一つの時代が終わった」という惜しむ声と共に、「彼らがいなくても回り続ける組織を作ったことこそが最大の功績」という称賛が溢れています。一方で、彼らが確立した手法の中には、現代においてその正当性が揺らいでいるものも存在します。それが、創業者が圧倒的な支配力を維持したまま上場を果たす「グーグル方式」の統治モデルです。

「性善説」に基づいた統治モデルの終焉と新たな課題

2004年8月19日の株式上場時、彼らは一般株主の10倍の議決権を持つ「種類株」を導入しました。これは、経営の独立性を守るための盾として機能しましたが、結果として株主平等原則を否定する形となりました。彼らが掲げた「悪にならない」という社是は、いわば経営者の良心にすべてを委ねる「性善説」に基づいた危ういバランスの上に成り立っていたのです。

近年、ウーバーやウィーカンパニーといった有力なスタートアップで、全権を掌握した創業者が暴走し、会社を追われる事態が相次いでいます。グーグル創業者の引退は、理想主義が通用した楽観的な時代の終わりを告げているのかもしれません。私自身、テクノロジーが巨大な権力を持つ現代において、個人の倫理観に頼る統治には限界があると感じざるを得ません。

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