塗料業界の巨人として君臨する日本ペイントホールディングス(HD)が、2019年11月14日に発表した最新の連結決算に注目が集まっています。2019年01月01日から09月30日までの期間における純利益は、前年同期と比べて7%減少する326億円という着地になりました。
数字だけを見ると少し厳しい印象を受けるかもしれませんが、実はこの裏側には前向きな投資の姿勢が隠されています。特に「M&A(企業の合併・買収)」に伴う一時的な費用が発生したことが、利益を押し下げる大きな要因となりました。将来の成長を見据えた攻めの戦略の結果と言えるでしょう。
SNS上では、この決算に対して「大型買収の影響なら納得」「世界シェアを獲りに行く姿勢が頼もしい」といった投資家たちの期待感に満ちた声が多く見受けられます。円高という為替の逆風に晒されながらも、売上収益は4%増の4951億円を確保しており、企業の地力の強さがうかがえる内容です。
地域別の動向を紐解くと、特に中国での建築用塗料の快進撃が目を引きます。現地での需要を的確に捉えたことが、インドやタイでの自動車用塗料の不振を補う形となりました。巨大市場である中国を制する者が世界を制するという、同社の戦略が結実した瞬間ではないでしょうか。
日本国内に目を向けると、自動車用や建築用が手堅く推移していることが分かります。2019年に発生した相次ぐ自然災害からの復旧作業に伴う需要も、売上の底上げに寄与しました。困難な状況下でも、社会インフラを支える企業としての責任を果たす姿は非常に印象深いものです。
一方で営業利益については、664億円とわずかな減少にとどまりました。これはトルコのベテックボイヤやオーストラリアのデュラックスグループといった、海外大手の買収費用が嵩んだためです。こうしたグローバル展開は、数年後の利益となって返ってくる「未来への貯金」に他なりません。
前年度に計上された中国での工場移転に伴う補助金や、国内不動産の売却といった特殊な利益の反動も、今回の減益要因として挙げられます。しかし、これらは本業の不調を意味するものではないため、過度に悲観する必要はないと私は考えます。むしろ、筋肉質な体質への変革期にあるのです。
日本ペイントHDは、2019年12月31日に終了する通期の業績予想を据え置く判断を下しました。純利益は前期比14%減の390億円、売上収益は2%増の6400億円を見込んでいます。目先の数字に一喜一憂せず、着実に世界トップの座を狙う同社の動向から、今後も目が離せません。
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