2019年12月26日、私たちの暮らしを根底から揺るがした台風19号の甚大な被害を受け、国と流域自治体が一体となった「信濃川水系緊急治水対策会議」が重要な一歩を踏み出しました。信濃川や千曲川、犀川を抱える長野・新潟両県を含む関係各所が発表した「中間とりまとめ」には、二度と同じ悲劇を繰り返さないという強い決意が込められています。SNS上でも「これ以上の犠牲は出さないでほしい」「具体的なスケジュールが見えて安心した」といった、切実な願いと期待の声が次々と寄せられている状況です。
今回のプロジェクトが掲げる最大の柱は、ハードとソフトの両面から成る総合的な治水対策の強化に他なりません。具体的には、洪水時の水位をコントロールする「遊水地」などの調節施設を整備するほか、川底の土砂をさらう「河道掘削」によって水の流れる容量を確保する計画が進められています。遊水地とは、大雨の際に一時的に川の水を貯留して下流の氾濫を防ぐ天然のダムのような役割を果たす場所を指します。こうした物理的な強靭化は、住民の命を守るための文字通り「命綱」となるに違いありません。
「田んぼダム」から情報共有まで、地域一丸で挑む減災へのシナリオ
注目すべきは、単に堤防を築くだけではなく、地域全体の機能を活用した「浸水被害の軽減策」が盛り込まれた点でしょう。特に農業用のため池を補強して活用する試みや、雨水を一時的に水田へ溜める「田んぼダム」の導入は、日本の原風景を活かした極めて合理的な手法と言えます。さらに、水害に強いまちづくりに向けた住まい方の誘導や、公共交通機関とのリアルタイムな情報共有も強化される方針です。これにより、ハード面では防ぎきれない想定外の事態にも柔軟に対応できる強靭な社会構造が目指されています。
編集者の視点として申し上げれば、今回の対策は従来の「川の中だけで完結する治水」から、流域に関わる全員が当事者となる「流域治水」への大きな転換点であると感じます。2019年度中には、今後5年間をめどとした具体的な実施メニューが最終決定される予定です。税金の使途としても納得感が高く、官民が連携してこの難局を乗り越える姿勢は、他地域のモデルケースになるのではないでしょうか。私たちは今、自然の驚異を正しく恐れつつ、最新の知恵を結集して自然と共生する術を学び、次世代へ繋ぐ責任を負っているのです。
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