2020年1月3日、新しい年の幕開けとともに世界経済の先行きに注目が集まっています。かつて市場では「7のつく年は危ない」というジンクスが囁かれました。1987年のブラックマンデーや1997年のアジア通貨危機、そして2007年のパリバショックなど、節目の年には大きな混乱が起きてきたからです。
一年前の2019年初頭を振り返ると、アメリカの連邦準備理事会(FRB)による利上げが新興国経済を冷え込ませないか、多くの投資家が固唾を呑んで見守っていました。しかし、現在の2020年を迎える空気感は、それまでの緊張が嘘のようにどこか楽観的なムードが漂い始めているのを感じます。
SNS上でも「米中貿易摩擦や英国のEU離脱に目処が立ち、ようやく一息つける」といった安堵の声が目立ちます。特にアメリカは大統領選を控えており、景気後退を避けるための強力な政策が期待されているのでしょう。こうした心理的な反動が、現在の緩やかなスタートを後押ししているようです。
低金利が生んだ「債務の連鎖」という不気味な足音
楽観論が広がる一方で、実体経済の減速という現実に目を逸らすわけにはいきません。FRBが利上げから利下げへと舵を切ったことで、世界中に溢れたマネーが深刻な副作用を生んでいます。今、国際会議の場で最も危惧されているのが、アメリカにおける企業債務の異様な膨張なのです。
2019年秋の報告によれば、米企業の債務残高は約1700兆円という過去最高水準に達しました。問題はその規模だけでなく、信用力の低い企業の借金が急増している点にあります。投資家が利回りを求めてリスクの高い貸付に走る現状は、いつ弾けてもおかしくない危うさを秘めています。
ここで注目したいのが「債務の連鎖」です。フランスやカナダの企業は、自国で借金を増やしてまで、好景気に沸くアメリカへ投資を振り向けています。グローバル化が進む中で、成長を求めて国境を越えるのは企業の本能と言えますが、これには大きな「ねじれ」が隠されているのです。
政治が冷え経済が熱を帯びる「政冷経熱」のジレンマ
経済が密接に結びつく一方で、国家間の政治関係は冷え切っています。トランプ大統領とフランス・カナダ首脳との舌戦は、まさに「政冷経熱」の象徴です。産業や金融が複雑に絡み合う中で、政治がその足を引っ張るというアンバランスな構造が、世界経済の新たなリスクとなっています。
この状況は、決して日本にとって対岸の火事ではありません。実は日本は、今や世界最大の銀行資金の供給源となっています。国内の低金利から抜け出すべく、邦銀は海外への投融資を加速させてきました。つまり、海外で金融危機が起きれば、日本の金融システムも即座に直撃を受ける運命にあるのです。
私の視点では、グローバル化は「巻き戻し」どころか、見えない部分でより強固に、そして複雑に深化していると考えます。政治的な保護主義が経営者の心理を冷やし、急激な資金の引き揚げが起きたとき、真の危機が訪れるでしょう。2020年、この「ねじれ」がどう解消されるかが鍵を握ります。
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