血圧計で世界トップシェアを誇るオムロンヘルスケアが、ついに「腕時計型血圧計」という革新的なデバイスを世に送り出しました。2019年12月3日から日本国内での販売が開始されたこの製品は、単なるガジェットではありません。なんと医療機器としての厳しい承認を取得した、プロ仕様の精度を持つウェアラブル端末なのです。
「医療機器の技術によって、心筋梗塞や脳梗塞をこの世から無くしたい」と熱く語るのは、同社の荻野勲社長です。これまでの血圧計は、家でじっと座って測るのが当たり前でした。しかし、この腕時計型なら、仕事中も外出中も「常時計測」が可能です。血管が詰まったり切れたりするリスクを、日常のあらゆる瞬間にキャッチできる時代が到来しました。
高精度な測定が変える「予防医療」の形
最近ではスマートフォンや安価なスマートウォッチでも血圧が測れると謳うものがありますが、荻野社長は「医療現場での信頼性」に絶対の自信を持っています。多くの簡易型がLEDなどの光センサーで測定するのに対し、オムロンの製品は医師が診断の基準にするのと同じ、確かな数値を弾き出します。だからこそ、実際の治療にも活用できるのです。
ネット上でも「ついに医療レベルのウェアラブルが来た!」「親へのプレゼントに最適かも」と大きな注目を集めています。SNSでは、特に健康診断の結果が気になり始めた世代からの反響が大きく、従来の「病気になってから測る」という意識が、「病気を防ぐために常に身につける」というスタイルへ劇的に変化している様子が伺えます。
2019年6月には、社内の組織を「循環器疾患事業統括部」へと一新しました。これは単にモノを売るのではなく、社会課題を解決するという強い決意の表れです。血圧だけでなく、心電図や睡眠、さらには自律神経の変化までを捉えることで、病気の予兆を未然に防ぐ「ゼロイベント」という壮大な目標に向かって突き進んでいます。
世界を救うビジネスモデルへの進化
同社の戦略はデバイスの開発に留まりません。2019年10月からは、シンガポールで企業の従業員の健康を管理するサービスを開始しました。血圧や体重のデータを「見える化」し、ウォーキングなどの行動改善を促すことで、病気にかかる前の「未病」の状態をケアします。こうした取り組みは、医療費の負担が重いタイや米国でも展開される予定です。
また、オンライン診療の支援にも積極的です。通院の負担を減らし、患者が治療を途中でやめてしまう「ドロップアウト」を防ぐ実証実験も進められています。これまでの「治療」中心の医療から、デバイスとデータを駆使した「予防」中心の医療へ。オムロンが手がけるこの変革は、私たちの寿命の質を根本から変えてくれることでしょう。
私個人としても、この「常時計測」の普及には非常に期待しています。体調の変化をデータで可視化できれば、自分の体に対する責任感も変わるはずです。技術が人に寄り添い、悲しい突然死をゼロにする。そんな未来の第一歩を、2019年12月の今、私たちは目の当たりにしているのかもしれません。
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