2020年東京五輪の開催までカウントダウンが始まる中、注目を集めていた札幌でのマラソンコースがついに全貌を現しました。大会組織委員会は2019年12月19日、未定となっていた後半部分について、札幌市内を約10キロメートルずつ2周するルートで実施すると正式に発表したのです。
今回決定したコースは、前半に約20キロメートルの大きなループを1周し、後半に約10キロメートルのコースを2回巡るという、極めて「変則的な3周構成」となりました。発着点は、札幌の象徴ともいえる大通公園に設定されており、北の大地を舞台にした熱い戦いがここから幕を開けます。
組織委と世界陸連のこだわりがぶつかった「折衷案」の真相
実は、このコース決定に至るまでには組織委員会と世界陸連(旧国際陸連)の間で激しい議論が交わされていました。世界陸連は、スタッフの配置を効率化するために約7キロメートルを3周するコンパクトなプランを提案していましたが、これには大きな壁が立ちはだかったのです。
精査の結果、7キロメートル案では地元住民の生活を支える主要な幹線道路を塞いでしまい、交通への影響が深刻化することが判明しました。一方で組織委は、大会後にハーフマラソンなどで再利用できる「レガシー(遺産)」としての価値を重視し、約20キロメートルの大周回を求めていたといいます。
「レガシー」とは、五輪のような大規模イベントが開催都市に残す、社会的・経済的な持続的遺産を指す専門用語です。最終的には、両者の主張を汲み取る形で「10キロメートル×2周」という折衷案が提示され、無事に合意へと至りました。これは、運営の効率と都市への影響を天秤にかけた、苦渋かつ賢明な選択といえるでしょう。
過去の大会でも採用された「周回コース」のメリットとは?
周回コースの採用は、実は近年の五輪におけるトレンドでもあります。2012年ロンドン大会や2016年リオデジャネイロ大会でも、中心部や海岸沿いを3周するコースが採用されており、これには運営上の明確なメリットが存在しているからです。
周回制にすることで、給水ポイントや警備スタッフの配置箇所を集約でき、コストを大幅に抑制することが可能になります。また、同じ場所を選手が何度も通過するため、沿道を観客で埋め尽くしやすく、テレビ中継においても非常に華やかで熱気のある映像を届けられるのです。
SNS上では「選手を何度も応援できるのは嬉しい」「真夏の札幌を駆け抜ける姿が楽しみ」といった期待の声が上がる一方で、「変則的なリズムに選手が対応できるのか」とコンディションを心配する意見も見られました。応援する側にとっては、観戦チャンスが増える最高のコース設計といえるはずです。
2020年に向けた具体的な準備がいよいよ加速
コースが確定したことを受け、札幌市の秋元克広市長は2019年12月20日から現地に運営本部が立ち上がることを明かしました。今後は関係者の宿泊先確保や正確なコース計測など、より実務的で詳細な詰めが行われていく予定であり、札幌の街は一気に五輪ムードへと染まっていくでしょう。
私個人としては、今回の決定は「市民生活」と「競技運営」のバランスを極限まで追求した結果だと評価しています。10キロメートルという距離は、五輪後も市民ランナーが挑戦しやすい距離であり、まさに「レガシー」として長く愛されるルートになるのではないでしょうか。
北海道の爽やかな風を受けながら、世界最高峰のアスリートたちがどのような駆け引きを見せてくれるのか、今から期待に胸が膨らみます。2020年という歴史的な1年に向けて、札幌の準備はまさにここからが本番です。
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