【2020年東京五輪】マラソンコース決定が難航中?札幌の「レガシー」か世界陸連の「効率」か、揺れる北の大地

2020年東京五輪のマラソン会場が、暑さ対策を理由に急遽札幌市へ変更されてから約1カ月が経過しました。しかし、2019年12月6日現在もなお、全コースの全容が見えない異例の事態が続いています。12月4日にはようやく前半20キロのルートが確定したものの、残りの後半部分については日本側と世界陸連の主張が真っ向から対立しており、協議は持ち越しとなりました。

前半20キロについては、夏の風物詩である「北海道マラソン」のルートをベースにする組織委員会の案が採用されています。大通公園を華やかにスタートし、さっぽろテレビ塔や北海道大学といった札幌屈指の観光名所を駆け抜ける、まさに「札幌の顔」を世界に発信する構成です。SNS上では「せっかく札幌に来るなら、街の魅力を存分に伝えてほしい」といった、景色を重視するファンの期待の声が多く寄せられています。

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「レガシー」としての活用を願う札幌市の情熱

後半コースのあり方を巡り、札幌市が強くこだわっているのが「レガシー」の創出です。レガシーとは、五輪という大きなイベントが開催都市に残す「長続きする遺産」を指します。市としては、約20キロのコースを2周する形にすることで、大会終了後も市民マラソンやハーフマラソンの公認コースとして幅広く活用したいと考えています。これは、ランニングブームが定着した日本ならではの地域振興策といえるでしょう。

対して、陸上競技の国際統括団体である世界陸連は、1周約7キロのコースを3周するプランを提案しています。これは、運営に必要なスタッフや給水拠点の数を最小限に抑えられるという、徹底した効率化が目的です。近年の五輪でも、2012年のロンドンや2016年のリオデジャネイロで周回方式が採用されており、運営側にとっては実績のある「スタンダード」な形なのです。

世界基準の「映え」か、日本特有の「熱気」か

世界陸連が周回型を好むもう一つの理由は、テレビ映りや観客の密度にあります。マラソン人気が必ずしも高くない地域では、短いコースを何度も選手が通ることで、沿道を観衆で埋め尽くしやすく、中継映像を盛り上げることができます。日本側は「日本はマラソン文化が根付いており、どこでも沿道は埋まる」と反論していますが、世界基準の運営論理を突きつけられ、苦しい交渉を強いられている印象を受けます。

そもそもこの騒動は、2019年10月にIOC(国際オリンピック委員会)が唐突に札幌開催をぶち上げたことから始まりました。現場を預かる組織委員会からは「言い出したIOCこそが主導して調整すべきだ」といった不満の声も漏れています。開催まで時間が限られる中、単なる効率化だけでなく、北海道の美しい街並みを世界に届ける誇りと、大会後の市民の利便性が両立する着地点を見つけてほしいと願わずにはいられません。

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