2020年東京オリンピックのマラソン競技について、大きな進展がありました。2019年11月18日、大会組織委員会が札幌市や北海道に対して、市中心部の大通公園を発着点とするコース案を提示し、大筋で合意に至ったのです。急転直下で決まった札幌開催ですが、準備期間が残り9カ月を切る中、ようやく具体的な形が見えてきました。
今回の案では、毎年8月に開催される「北海道マラソン」のルートをベースにしつつ、市中心部を2周する周回コースが検討されています。周回コースとは、同じ道を何度も通る形式のことで、ロンドン五輪やリオ五輪でも採用された実績があります。警備員の配置を効率化し、ボランティアの負担を軽減できるため、コスト削減と簡素化を目指す組織委にとっては現実的な選択といえるでしょう。
しかし、この決定にSNS上では「夏の大通公園が五輪一色になるのは嬉しいけれど、いつもの楽しみはどうなるの?」といった複雑な胸中を明かす投稿が目立ち始めています。特に懸念されているのが、100万人以上を動員する札幌の夏の象徴「さっぽろ大通ビアガーデン」への影響です。コース設営のために会場が長期間占有されれば、開催自体が危ぶまれる事態になりかねません。
観光シーズンの集客とホテル業界の苦悩
宿泊業界もまた、手放しでは喜べない状況に直面しています。2019年11月19日現在、札幌市内のホテルからは「例年通りの稼働は維持できる」という強気な声がある一方で、深刻な懸念も漏れ伝わってきます。夏の北海道はもともと観光のピークであり、五輪がなくても満室に近い状態が続くからです。
あるホテルの担当者は、五輪という巨大なイベントがあることで、逆に一般の観光客が「混雑を避けて旅行を控える」ことや、自宅でのテレビ観戦に切り替えることを危惧しています。また、大会関係者の宿泊枠を確保するために一般予約を一時停止している施設もあり、もし空室が埋まらなければ、例年の書き入れ時を下回る減収になるリスクも孕んでいます。
私個人の意見としては、五輪の成功はもちろん重要ですが、札幌が長年築き上げてきた独自の観光文化や地域経済を犠牲にしては本末転倒だと感じます。特にビアガーデンは、利益の一部を福祉団体に寄付する社会貢献の場でもあります。世界中から注目が集まるこの機会を、単なる競技運営の場とするのではなく、地元の活気と共存させる知恵が今こそ求められているのではないでしょうか。
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