2020年夏の祭典、東京五輪のマラソン競技が札幌で開催されることが決定し、その具体的なコース案が2019年11月13日に明らかとなりました。大会組織委員会や札幌市が現在検討を進めているのは、札幌市の中心部をぐるりと巡る「周回コース」です。この案には、運営の効率化や選手への配慮など、開催地変更に伴う切実な事情が隠されています。
当初は、毎年夏に開催されている「北海道マラソン」のルートを基に検討されてきました。しかし、北側に位置する「新川通」は、日陰がほとんどない直線が約13キロメートルも続く過酷な環境です。選手への負担を考慮し、より走りやすく観客も楽しめる市街地周回の形が浮上しました。コンパクトな動線は、ボランティアや警備の人手を抑えられるメリットも大きいでしょう。
SNS上では「新川通の単調な景色より、大通公園付近を回る方が応援もしやすい」「周回なら何度も選手を見られるチャンスが増えるのでは」と、ポジティブな反応が広がっています。一方で「夏の北海道も十分暑いので、対策を徹底してほしい」という懸念の声も目立ちます。世界が注目する舞台だけに、ファンもその行方を固唾をのんで見守っているようです。
インフラが整う大通公園を発着点にコスト削減を狙う
注目の発着点については、やはり大通公園が最有力候補となっています。ここには中継用の配線を通す管などが既に整備されており、多額の追加工事費用を抑えられるという「インフラ面」での強みがあります。インフラとは、道路や通信網など社会を支える基盤施設を指しますが、既存の資産を活かすことがコスト低減の鍵となるでしょう。
過去の五輪を振り返ると、2012年のロンドン大会や2016年のリオデジャネイロ大会でも周回コースが採用された実績があります。世界的なトレンドに合わせつつ、札幌の美しい街並みを世界へ発信する絶好の機会です。2019年12月3日から予定されているIOC(国際オリンピック委員会)理事会での承認に向け、実務的な協議が加速しています。
編集者としての私見ですが、今回の「周回案」は、突如決まった開催地変更という混乱の中で、最も現実的かつ賢明な判断だと感じます。選手にとっては新川通のような単調な「精神的苦痛」を回避でき、運営側は予算を圧縮できます。急な変更で準備期間が限られる中、いかに「持続可能な五輪」としての形を示せるかが、札幌開催の成功を左右するはずです。
今後の課題は、2020年8月9日に予定される男子マラソンのスケジュール調整です。テレビ中継の都合と、閉会式が行われる東京への移動時間の兼ね合いなど、解決すべきハードルはまだ残されています。2019年11月1日の4者協議で移転が正式決定してからというもの、事態は刻一刻と動いています。最高の舞台が整うことを切に願っています。
コメント