【鏑木毅の告白】衰えへの恐怖をどう乗り越える?50歳で挑んだUTMBと「幸せを掴むマインドセット」の真実

2019年12月25日、世界的なプロトレイルランナーとして知られる鏑木毅さんが、自身の10年に及ぶ心の葛藤を綴った一冊を世に送り出しました。書名は『マインドセット』。40歳で世界最高峰のレース「UTMB(ウルトラタイトル・デュ・モンブラン)」で3位に輝いた彼が、50歳で再びその舞台へ挑むまでの壮絶な舞台裏が描かれています。

執筆作業は2019年8月末のレース終了直後、まだ身体に熱が残る1ヶ月間で一気に行われました。溢れる想いを言葉に変換する作業は、プロのスポーツ選手といえども困難を極めたようです。過去の苦しみや歓喜を鮮烈に呼び起こし、高ぶる感情を冷静な筆致で記録するプロセスは、まさに彼にとって自分自身と対峙するもう一つの過酷なレースだったと言えるでしょう。

SNSでは、これまでの「最強のアスリート」というイメージを覆す、鏑木さんの率直な弱音に驚きの声が上がっています。「完璧超人だと思っていたけれど、自分と同じように悩み、苦しんでいたことに勇気をもらった」といった共感の輪が広がっており、単なるスポーツドキュメンタリーを超えた人生のバイブルとして注目を集めています。

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物事の捉え方を変える「マインドセット」の力

ここで鍵となる「マインドセット」という言葉について、少し詳しく触れておきましょう。これは単なる前向きな思考法ではなく、自分自身の信念や考え方の枠組みを指す専門用語です。鏑木さんは、人生で起こるあらゆる出来事は、この心のフィルターを通すことで、いかようにも幸福な流れへと変換できるのだと説いています。

例えば、深い闇夜を一人で歩くという状況を想像してみてください。それを「恐ろしい」と切り捨てるか、日常では味わえない「神秘的でワクワクする体験」と捉えるかで、得られる感情は180度変わります。あらゆる事象に対して心を能動的に、かつポジティブに機能させることこそが、困難を好転させる唯一の方法なのです。

15年間の公務員生活に終止符を打ち、プロの道へ進んだ鏑木さんの10年間は、実は焦燥感との戦いでした。加齢による体力の低下を直視できず、過去の自分を必死に追い求める姿は、端から見れば悲壮感すら漂うものだったかもしれません。好きなことを仕事にしたはずが、他者と比較しては自己嫌悪に陥る日々が続いていたのです。

「ありのままの自分」を受け入れる勇気

そんな彼を救ったのは、2018年の160kmレースで見知らぬファンから掛けられた言葉でした。「走っている姿を見せてくれるだけでいい」という応援は、最初こそ一線退いた者への同情のように聞こえ、彼を深く傷つけました。しかし、これこそが彼の凝り固まったプライドを解きほぐす転換点となったのです。

どんな状態であれ、自分を応援してくれる存在のありがたさを噛みしめた時、彼は「不動の心の置き場」を見出しました。完璧な自分を演じる必要はない。そう思えた瞬間に、50歳での再挑戦という険しい道のりが、真の意味で輝き始めたのでしょう。自分の弱さを認めることこそが、真の強さへと繋がるという逆説的な真理がここにあります。

私たちが日々感じるストレスや壁も、見方を変えれば成長の種に過ぎません。プロランナーが泥臭く悩み抜いて辿り着いたこの結論は、現代社会を生きる私たちにとっても深い示唆を与えてくれます。2019年も終わりを迎えようとしていますが、今どれほど苦境に立たされていても、心の持ち方一つで明日は劇的に変えられるはずです。

乗り越えた先に待っているのは、他者の評価に依存しない「最高の人生」に他なりません。鏑木さんの言葉は、困難に直面しているすべての人への力強いエールとなっています。2020年という新しい年を目前に、私たちも自分だけのマインドセットを見つめ直し、新たな一歩を踏み出してみようではありませんか。

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