フィンテックの本場として世界をリードする英国において、金融界の勢力図が劇的な変化を迎えています。2019年12月26日現在、長らく市場を独占してきた伝統的なメガバンクたちが、急速に台頭するデジタルネイティブな新興銀行への対抗策を打ち出し始めました。
その筆頭が、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)傘下のナットウエスト銀行です。彼らは2019年11月、満を持して実店舗を持たないデジタル銀行「Bo(ボー)」の提供を開始すると発表しました。これは、スマホ一つですべてが完結する次世代の銀行サービスです。
「Bo」はアプリ上で出入金を賢く管理し、利用シーンごとに支出を自動で分類してくれる利便性が売りとなっています。しかし、このサービスの鮮やかな黄色のキャッシュカードをひと目見た人々からは、「ある人気銀行を意識しすぎではないか」との声が上がっています。
SNS上では「老舗銀行がついに本気を出した」と驚く声がある一方で、デザインの類似性に対して「モンゾのフォロワーに過ぎないのでは?」といった手厳しい指摘も散見されます。既存の権威が若者の支持を必死に追いかける姿は、業界に大きな波紋を広げているのです。
ピンクの旋風!若者を虜にする「モンゾ」の圧倒的スピード感
大手銀行がこれほどまでに危機感を募らせる最大の要因は、2017年に銀行ライセンスを取得した「Monzo(モンゾ)」の存在でしょう。蛍光ピンクのカードを象徴とするこの銀行は、毎週数万件という驚異的なペースで新規口座を増やし、現在は300万口座を突破しています。
モンゾの最大の武器は、徹底したユーザー目線にあります。フィンテック、つまり「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を掛け合わせたサービスにおいて、彼らは複雑な手数料を排除し、アプリ内チャットによる迅速なサポートという圧倒的な体験を提供しているのです。
さらに、企業価値は2019年時点で2500億円を超え、舞台はすでに米国へと広がっています。2020年からは米決済大手ビザの幹部を招き入れる予定で、その勢いはとどまるところを知りません。伝統的な銀行が数十年かけて築いた信頼を、彼らは数年で塗り替えようとしています。
国境を溶かす「レボリュート」とミレニアル世代の選択
モンゾと並んで業界を震撼させているのが、ロシア出身の元バンカーが設立した「Revolut(レボリュート)」です。こちらはすでに800万口座を擁し、約150もの通貨を低コストで扱える国際送金の強みを活かし、従来の銀行が課してきた高い手数料という常識を打ち破りました。
両社の創業者はともに30代であり、既存の銀行システムに対する不満をバネに、店舗を持たない「ネオバンク」という形態を作り上げました。ITリテラシーが高く、スマホが生活の中心であるミレニアル世代にとって、彼らのサービスはもはや必然の選択肢と言えるでしょう。
私個人の見解としては、大手銀の「Bo」参入は遅きに失した感も否めませんが、資金力を持つ伝統勢力の逆襲は消費者にとって好ましい競争を生むはずです。利便性と信頼性のどちらが最終的な勝利を収めるのか、英国発のこの金融革命からは今後も目が離せません。
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