2019年12月27日、激動の1年を締めくくる中国経済の予測が発表されました。日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた最新の調査によると、2020年の中国の実質国内総生産(GDP)成長率の予測平均は5.9%にとどまっています。この「5.9%」という数字は、単なる減速以上の意味を持っています。長年、経済成長の「防衛ライン」と考えられてきた6%の大台を割り込む可能性が極めて高く、市場関係者の間では警戒感が急速に広がっているのです。
SNS上でもこのニュースは大きな関心を集めており、「ついに中国も成長の踊り場に来たか」「私たちの生活への影響は?」といった不安の声が多く上がっています。専門家たちの厳しい見方の背景にあるのは、やはり「米中貿易戦争」の長期化です。第1段階の合意に達したとはいえ、依然として高い関税が一部残されたままであり、これが企業の投資意欲を削ぐ深刻な要因となっています。2020年は米大統領選の年でもあるため、政治的な思惑からさらなる摩擦が生じるリスクも否定できません。
食卓を直撃するインフレと資金繰りの悪化
成長率の鈍化に加え、もう一つの大きな壁となっているのが「物価の上昇」です。特に「アフリカ豚コレラ(ASF)」という、豚に感染する非常に致死率の高い伝染病が猛威を振るっています。この影響で中国人の食卓に欠かせない豚肉の価格が高騰しており、家計を圧迫しているのが現状です。インフレ、つまり物価が継続的に上昇し貨幣価値が下がる現象が、野菜など他の食品にも波及しつつあります。消費が冷え込めば、景気の下支えも困難になるという悪循環が懸念されます。
さらに、企業の「資金繰り」も深刻な課題として浮上しています。特に地方の中小金融機関や、地方政府がインフラ開発のために設立した投資会社である「融資平台(ゆうしへいだい)」の経営悪化が目立っています。これまで中国の経済発展を影で支えてきたこれらの組織が、膨らみすぎた債務に耐えきれず、信用不安を引き起こすリスクがあるのです。一部のエコノミストは、地方都市から連鎖的な信用収縮が始まる可能性を指摘しており、中国当局にとって非常に難しいかじ取りが求められます。
香港の混迷と財政政策による下支えの限界
2019年を通じて続いた香港での政府抗議活動も、大きな重荷となっています。今回の調査では、香港の2019年の成長率予測はマイナス1.4%、2020年もマイナス0.3%と、異例の2年連続マイナス成長が見込まれています。小売業や観光業が受けた打撃は甚大であり、仮に情勢が安定したとしても、かつての賑わいを取り戻すには相当な時間を要するでしょう。アジアの金融センターとしての地位が揺らぐことは、中国本土にとっても無視できないダメージとなります。
こうした苦境に対し、中国政府はインフラ投資を柱とした財政政策で景気を下支えする構えです。しかし、無理な刺激策は将来の債務リスクを拡大させるというジレンマも抱えています。私自身の見解としても、現在の中国は「量的な成長」から「質的な構造改革」への過渡期にあり、成長率の数字だけに固執するのは危険だと考えます。目先の5.9%という数字に一喜一憂するのではなく、いかにして内部の歪みを解消し、持続可能な経済基盤を再構築できるかに注目すべきでしょう。
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