2018年7月6日に発生した西日本豪雨は、各地に甚大な被害をもたらしました。広島市安芸区の梅河団地も激しい土石流に襲われ、当時18歳だった植木将太朗さんの尊い命が奪われてしまったのです。外出先から必死に安否を気遣った母親の富士子さんは、猛暑の中で懸命な捜索活動を続けましたが、10日後に悲しい再会を果たすこととなりました。
愛する息子を失った深い喪失感にさいなまれる中、植木富士子さんを支えたのは周囲の温かい支援でした。SNS上でも「胸が締め付けられる」「お母さんの心の痛みを思うと言葉が出ない」といった、多くの共感と悲しみの声が寄せられています。そんな絶望の淵にいた彼女が、2020年1月7日現在、新たな一歩を踏み出そうと決意を固めました。
植木さんが目標に掲げたのは、民間資格である「防災士」の取得です。防災士とは、社会の様々な場所で減災や防災力向上のための知識と技能を身に付け、避難誘導や地域活動を主導する専門家のことを指します。かつて被災直後に自分たちを素早い判断力で救ってくれた地元の防災士の姿が、彼女の心に強く残っていたことが挑戦のきっかけとなりました。
2014年8月20日に起きた広島土砂災害の被災地を訪れた植木さんは、同じ痛みを抱える人々と交流する中でこの資格の存在を知ったそうです。悲しみが完全に癒えたわけではありませんが、天国の息子さんに胸を張れる自分でありたいという強い願いが原動力になっています。日常を襲う災害の教訓を未来へ語り継ぐため、彼女は今、勉強に励んでいます。
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