2020年国際商品相場を徹底予測!原油・穀物・非鉄金属の価格動向と世界景気の行方

2020年の国際商品相場は、幕開け早々からアメリカとイランの対立激化という緊迫した地政学リスクに直面しています。地政学リスクとは、特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張が、世界経済や市場に悪影響を及ぼす不確実性のことです。SNS上でも「中東情勢の緊迫化でガソリン代が跳ね上がるのではないか」といった、私たちの生活への直撃を不安視する声が数多く飛び交っています。激動する世界情勢の中で、主要な商品相場がどのような軌跡をたどるのか、編集部独自の視点を交えて詳しく分析していきましょう。

「世界経済の血液」と評される原油相場は、年初から非常に激しい値動きを記録しました。指標となるニューヨーク先物市場では、2019年12月末時点で1バレルあたり61ドル台だった株価が、2020年01月03日の米軍によるイラン司令官殺害を機に急騰したのです。さらに2020年01月08日には一時、約9カ月ぶりの高値となる65ドル台まで上値を伸ばしました。しかし、トランプ米大統領が軍事的な報復に対して慎重な姿勢を示したことで、同日の終値は一気に60ドルを割り込む展開を迎えています。

原油供給の面を見渡すと、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国は、2020年01月から日量50万バレルの追加減産に踏み切りました。それにもかかわらず、価格の上値を抑える要因は根強く存在しています。米中通商摩擦や世界的な景気減速のあおりを受け、輸送部門を中心にエネルギー需要そのものが落ち込むとの懸念が消えないためです。実際に国際エネルギー機関(IEA)などの専門機関は、2019年中に世界の需要見通しを相次いで引き下げる事態となりました。

中東における軍事衝突の火種は完全に消え去ったわけではありません。しかし、仮に情勢が再び緊迫化して原油価格が一時的に上昇したとしても、その勢いが長期的に持続する可能性は低いと考えられます。なぜなら、米国のシェールオイルをはじめとする非OPEC加盟国の増産が続いており、減産による価格維持効果が相殺されやすい構造になっているからです。需要の冷え込みに対する市場の警戒感は非常に強く、原油高が経済の重荷になるシナリオには十分な注意が必要です。

一方、世界経済の二大巨頭であるアメリカと中国の貿易摩擦も、商品市場の動向を大きく左右しています。両国は2019年12月中旬に「第1段階」の通商合意に達し、市場の緊張感は一時的に和らぎました。この動きを好感して株式市場などのリスク資産にお金が流れ、米国のダウ工業株30種平均は最高値圏をキープしています。しかし、期待先行で急騰する株式市場とは対照的に、原油や金を除く国際商品の価格の戻りは非常に鈍いのが現状と言わざるを得ません。

主要な国際商品の総合的な値動きを示す「ロイター・コアコモディティーCRB指数」を観察すると、その傾向がより鮮明に浮かび上がってきます。株のような実体のない期待感だけで動く市場とは異なり、現物の取引に直結する国際商品市場では、実際の需要(実需)の弱さが如実に価格の頭を抑えているのです。ネット上でも「株価だけがバブルのように浮いていて、実体経済の冷え込みと乖離しているのが不気味だ」という、冷静かつ鋭い指摘が散見されます。

具体的な例として、穀物市場の代表格である大豆の動きを見てみましょう。米中間の合意内容には、中国が米国産の農産品を400億ドル分も購入するという野心的な方針が盛り込まれました。それにもかかわらず、国際指標であるシカゴ先物市場の大豆価格は1ブッシェルあたり9.4ドル前後に留まり、合意発表前に比べてわずか4%程度の上昇に甘んじています。これほど市場の反応が薄い背景には、中国が本当にそれほど巨額の農産品を買い切れるのかという、強い懐疑論が根強く渦巻いているからです。

2020年11月に控える米大統領選に向けて、トランプ大統領は何よりも自身の外交実績作りを最優先に動いています。現在は国内の景気や株価への配慮を最優先するシナリオがメインですが、選挙戦が本格化すれば、再び「中国たたき」を演じて支持層の票集めに動くリスクも否定できません。金融市場はさらなる関係改善に向けた「第2段階」の合意を期待しているものの、両国がどこまで妥協し合えるかという不透明感は、依然として霧のように立ち込めています。

もし米中の対立が再び激化すれば、要人の一喜一憂する発言に翻弄されて相場が乱高下した2019年の悪夢が繰り返されるでしょう。経済協力開発機構(OECD)の予測によれば、中国の国内総生産(GDP)成長率は2020年に6%を割り込む見通しです。GDPとは国内で一定期間に生み出された付加価値の総額のことで、国の経済規模や成長の勢いを測る指標です。この中国経済の失速は、世界の金属需要を支える現場にとって、極めて深刻な逆風となります。

とりわけ、世界の銅やアルミニウムといった非鉄金属の約5割を消費しているのが中国という巨大市場です。ロンドン金属取引所(LME)の銅の3カ月先物価格は、米中合意の知らせを受けて1トンあたり6000ドルの大台をどうにか回復しました。しかし、専門家からは「持続的な価格上昇を実現するためには、中国国内における実質的な需要の回復が絶対に欠かせない」との声が上がっています。現在の中国には、かつてのような大規模なインフラ投資を行う余力はありません。

2008年のリーマン・ショック直後に見られたような、中国政府による巨額の公共投資による世界経済の救済劇は、もはや期待できない状況です。非鉄金属の価格は、2019年春に記録した高値である6500ドルあたりが当面の上限になるという見方が大勢を占めています。世界的な景気減速の足音が近づく中で、2020年の国際商品相場は華々しい上昇を見せることなく、総じて上値の重い我慢の展開が続く可能性が極めて高いと言えるでしょう。

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