国内外で圧倒的な存在感を放つショッピングモールは、1ヵ所で買い物のすべてが完結する利便性が大きな魅力です。しかし、業界内の競争は年々激しさを増しており、いかに魅力的な品揃えで集客するかが各社の運命を握っています。国内最大手であるイオンモールの吉田昭夫社長は、さらなる成長に向けて力強い戦略を掲げておられます。
ネット上でも「イオンの海外展開のスピード感がすごい」「ベトナムのイオンに行ってみたい」といったポジティブな声が多く、その動向に大きな注目が集まっているようです。
アジア市場への投資継続とベトナムでの驚異的な「現地化」戦略
同社が今、最も力を注いでいるのがアジア地域への重点的な投資です。すでに中国では21店舗まで拡大し、念願の黒字化を達成してキャッシュフローもプラスに転じました。今後は、労働力人口の割合が高まり経済成長が見込める「人口ボーナス効果」が期待できる東南アジア諸国連合、通称ASEAN(アセアン)での出店を加速させる方針です。
その筆頭となるのが、平均年齢が約30歳と若く、人口1億人に迫るベトナムです。かつての日本のような「1億人総中流」の時代を迎えると予測されています。
現在展開している5店舗から、2025年度までに10店舗以上へ増やす目標を掲げており、大都市に続く有力地方都市への進出を見据えています。外資系小売りの撤退が珍しくないベトナムで同社が成功している背景には、現地の文化や商習慣を熟知した現地スタッフに運営を任せる「現地化」の徹底があります。
これにはSNSでも「地元密着の姿勢が素晴らしい」と称賛の声が上がっていました。単なる出店ではなく、地元政府と対話を重ねて街づくりに貢献する姿勢が強みとなっています。
消費増税の波を乗り越え、2020年東京五輪の追い風を掴む国内戦略
国内市場に目を向けると、2019年10月1日の消費税率引き上げによる影響が懸念されていました。しかし、2014年4月1日の増税時に比べると消費の回復は早い段階で進んでいるようです。2019年9月の駆け込み需要の反動で翌月は落ち込んだものの、11月には持ち直し、直近3ヶ月の売上高は前年並みを維持しました。
2020年度の国内展開としては、新規に2店舗を出店する一方で、既存店の「増床」に注力していく計画を立てています。
時代の変化に合わせて店舗を若返らせ、地域住民のニーズに応じて保育園や病院なども併設し、全世代に愛される空間を目指すとのことです。さらに、2020年は一大イベントである東京オリンピック・パラリンピックが控えています。世界中から訪れる外国人観光客、いわゆるインバウンドの集客に向けて、成田や幕張新都心などの店舗で受け入れ体制を強化します。
大会を機に高まるスポーツ熱や健康志向に応えるため、関連グッズの品揃えも大幅に拡充する予定です。
編集部の視点:地域に寄り添う「街づくり」こそが最強の差別化
国内外で変化を恐れず進化を続けるイオンモールの戦略からは、時代の風を的確に捉える機敏さが伝わってきます。特にベトナムでの成功は、単に日本のビジネスモデルを押し付けるのではなく、現地の人々と共に歩む姿勢があってこそ成し遂げられたものでしょう。
国内でも単なる商業施設を超え、医療や育児インフラを網羅した「地域社会の拠点」へと昇華させようとする試みは、今後の小売業のあるべき姿を示していると感じます。東京五輪という追い風を味方に、どのような感動を届けてくれるのか非常に楽しみです。
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