キノコファンの間でいま、猛烈に熱い視線を集めている存在をご存じでしょうか。それは、天然物と見紛うほどの圧倒的な風味と歯ごたえを誇る高級食材「黒マイタケ」です。SNS上でも「一度食べたら普通のマイタケに戻れない」「香りの強さが次元違い」と大絶賛の声が相次いでいます。この幻のキノコを世界に届けるため、雪国まいたけの創業家が関係する2社が、国内外で驚天動地のメガ増産プロジェクトを本格始動させました。
現在、この至高の黒マイタケを栽培しているのは、新潟県南魚沼市に本拠を置く大平きのこ研究所です。同社は雪国まいたけの生みの親である大平喜信氏が会長を務め、2015年6月に設立されました。ここで育てられる黒マイタケは、一般的な茶色や白のマイタケと比べて約2倍という高値で取引されているのが特徴です。その気品ある佇まいと味わいから、関東地方の百貨店や高級スーパーを中心に、グルメな買い物客を魅了し続けています。
人気の秘密は、一口食べれば誰もが驚く圧倒的な栄養価と旨味に隠されています。なんと、旨味の主成分である「グルタミン酸」が通常の1.3倍も含まれているのです。さらに、免疫力を高める効果が期待されている多糖体の一種「β(ベータ)―グルカン」も豊富に詰まっています。健康意識の高い消費者が増える現代において、この栄養満点な黒マイタケへの注目度が右肩上がりに高まるのは、当然のトレンドと言えるでしょう。
この旺盛な需要に応えるため、同社は2021年までに埼玉県飯能市に約2万平方メートルもの巨大な新工場を建設する予定です。これにより、現在の年産100トンから2000トンへと、驚異の20倍増産を狙います。新工場では、これまでの栽培データをもとに温度や湿度を全自動でコントロールする仕組みを導入予定です。さらに自動搬送装置も取り入れ、徹底的な効率化を図るテスト拠点としての役割も担っています。
総投資額は40億円にのぼり、官民ファンドの農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)からの出資も受けるなど、国からの期待値も絶大です。2022年には本社を飯能市へ移転し、全国展開へ向けた最強の営業拠点を築く構想も進んでいます。2019年5月期の売上高は1億2000万円ですが、2023年5月期には20億円へと跳ね上げる目標を掲げており、その急成長のロードマップにはワクワクが止まりません。
さらに、この黒マイタケ旋風は日本国内にとどまらず、海を越えて北米大陸へも吹き荒れる見込みです。喜信会長が率いる現地法人「将軍まいたけカナダ」でも、大規模な増産が計画されています。2022年末までに約40億円を投じ、オンタリオ州の工場を現在の23倍以上となる3万平方メートルへ大拡張する予定です。これにより年産3100トン体制を確立し、北米の高級飲食店へ日本の誇る味覚を届けていきます。
かつて1983年に雪国まいたけを設立し、一大企業へ育て上げた大平喜信氏ですが、2013年に不適切会計の責任を取り社長を辞任した過去を持ちます。しかし、キノコへの情熱は決して消えていませんでした。上場企業では採算の壁から実現できなかった「少量高品質」の黒マイタケ栽培に特化し、再び世界の頂点を目指す姿は、一人のモノづくりスト、そして起業家として非常に胸が熱くなるドラマを感じさせます。
一般のマイタケ栽培が海外でも普及し、価格競争が激しさを増す現代だからこそ、圧倒的な付加価値を持つ「黒マイタケ」で差別化を図る戦略は極めて明快でスマートです。「日本の農業が世界でも通用することを示したい」という現社長の熱い言葉通り、独自の栽培技術で世界市場に挑む姿は、停滞する日本農業の新たな希望の光となるでしょう。今後の彼らの躍進から、一瞬たりとも目が離せそうにありません。
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