2019年6月26日、フランスで開催されているFIFA女子ワールドカップの決勝トーナメント1回戦で、なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)はオランダと対戦し、1対2で惜しくも敗退いたしました。試合終了のホイッスルが鳴り響いた後、ピッチに立ち尽くしたり、座り込んだりする選手たちの瞳からは、さまざまな思いが込められた涙が流れ出ていたことでしょう。ベスト8進出を果たせず、大会途中で道を断たれた悔しさに加え、勝利を掴めたはずの試合を落としてしまったことへの、強いもどかしさも含まれていたに違いありません。
「これまでで一番、日本らしさは出せた」と振り返ったMF長谷川唯選手が前半43分に決めた同点ゴールは、まさに日本女子サッカーの真骨頂とも言える、非常に美しいものでした。MF杉田妃和選手、長谷川選手、FW岩渕真奈選手の間で交わされたパス交換により、中盤を鮮やかに崩し、さらにこの3選手がゴール前にも絡んでいくダイナミックな攻撃は、目を見張るものがありました。狭いスペースから狭いスペースへと短いパスをつないでいく正確な技術は、フィジカル(身体能力)やスピードで相手に劣る分を、高度なテクニック(技術)と豊富な運動量で上回ろうとする、なでしこのサッカーの結晶と言えるでしょう。
オランダ戦では、ボールポゼッション(支配率)を高めて、試合の主導権を長く握り続けた点において、その6日前に完敗を喫したイングランド戦からの大きな進歩が見て取れました。今大会がワールドカップ初出場となったMF籾木結花選手の堂々としたパスさばきは、相手にとって大きな脅威となり、杉田選手やDF三浦成美選手も、ゴールに迫る決定的なシュートを放っています。しかしながら、せっかくのチャンスを仕留めきれずに、相手の逆襲から失点を許すという試合展開は、残念ながらイングランド戦と似たような流れを辿ってしまったと言えるでしょう。
粘り強さの先に待っていた不運と勝負の厳しさ
オランダの放つ強力なシュートを、粘り強いブロック(守備)で何度も跳ね返し続けていましたが、最後にキャプテンのDF熊谷紗希選手の腕にボールが当たってPK(ペナルティーキック)を献上してしまったのは、不運だったとも言えるかもしれません。それでも、熊谷選手自身は「勝負というのはこういう最後のところで決まるんだな。勝負の怖さを感じた」と、この試合の厳しさを率直に語っています。個々のフィジカルで勝るオランダが、強引なドリブル突破から、腰の入った強いシュートをゴール枠内に打ち込んできたのに対し、日本はそのような迫力のある攻撃が不足していたように感じられます。この点には、日欧のサッカー界に厳然として存在するフィジカル面での差が表れてしまったと言えるでしょう。
SNS上では、「なでしこらしいパスサッカーは最高だった」「敗因は決定力に尽きる」「最後のPKは本当に悔しい」といった、試合内容への評価と、結果への悔しさが入り混じったような反響が多く見られました。特に、試合の「日本らしさ」を評価する声が目立っており、そのプレースタイルが多くのファンに愛されていることが分かります。高倉麻子監督は試合後、「日本のサッカーで世界に挑んでいけるという思いもあるし、決定的に全てが劣っていたとも思わない。とにかく倒れず前に進んでいきたい」と、前を向く姿勢を示されました。フィジカル差を埋めることは容易ではありませんが、技術と組織力で勝負する、コツコツとパスをつなぎ続けるというスタイルこそが、今の日本女子サッカーが進むべき唯一の道であると確信しています。
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