2019年6月15日、女子ワールドカップ(W杯)の舞台で、サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」が、スコットランド代表から待望の初勝利を収めました。スコアは2対1。初戦のアルゼンチン戦を0対0の引き分けで終え、この試合で勝ち点を逃せば1次リーグ敗退が現実的になるという、まさに**「背水の陣」**という状況でした。しかし、この危機感がチームにとっての良薬となったのでしょう。高倉麻子監督も「全員のお尻に火がついた」と語るように、特に前半はゴールへ向かう意欲、全員が連動するプレーに「日本らしさ」が戻ってきたと、その内容と結果を高く評価しています。
初戦では全体的に動きが鈍く単調な攻撃に終始してしまいましたが、選手たちはアルゼンチン戦の反省会を重ね、チームとして「何をすべきか」を明確に整理しました。海外の女子サッカーでは、身長や身体能力といった**「速さや高さ」を最大限に活かし、フォワード(攻撃陣)とディフェンダー(守備陣)で役割を明確に分けて戦う、いわゆる「大味(おおあじ)なサッカー」が主流となりつつあります。しかし、なでしこジャパンの最大の強みは、攻守の切り替えの速さであり、チーム全体で攻撃と守備を一体となって行う「攻防一体」の連動性です。これを実現する上で、中盤の底で攻守のバランスを取る「ボランチ」**の働きは、まさに試合の鍵を握っていました。
この試合でボランチを務めた杉田妃和選手は、「相手にスピードに乗られてしまうと不利になる。だからこそ、常に先手先手で準備し、相手の攻撃の芽を早めに摘み取る意識が重要」と話していました。彼女は積極的に攻撃に参加し、シュートチャンスに絡みつつも、ボールを失った瞬間に即座に相手へプレッシャーをかけ、パスコースを遮断しました。これにより、スコットランドの持ち味である素早いカウンター攻撃を未然に防いでいたのです。一方、相棒の三浦成美選手は、やや守備的な位置に控えながら、相手選手に狙いを定めて激しいタックルを浴びせました。三浦選手も「良い形でボールを奪うことができたので、そこからの攻撃の流れがスムーズになった」と語っており、このボランチコンビの意識が、試合の主導権を握る大きな要因となりました。
その意識が具体的に結実したのが、前半23分の先制ゴールです。岩渕真奈選手がゴールキーパーの頭上を豪快に射抜く見事なシュートを決めましたが、このゴールにつながる起点となったのは、遠藤純選手が相手のクリアミスを素早く奪い返した**「出足の速さ」でした。このように、チームの生命線である「攻防一体」の切り替えのスピードが、最高の結果をもたらしたのです。インターネット上のSNSでは、「これがなでしこのサッカー!見ていて気持ちがいい!」「杉田・三浦コンビが最高すぎる!日本の心臓だ」といった、選手のプレーを称賛するコメントが熱狂的に**飛び交っていました。
「失敗から学ぶ」成長力こそが、なでしこジャパンの真骨頂
もちろん、課題がなかったわけではありません。後半途中からは相手の**「フルパワー」、つまり身体能力を活かした激しいプレーに気圧され、試合運びがぎこちなくなる場面が見られました。また、不用意なキックミスが相手への決定的なパスにつながり失点してしまうなど、守備面でのうかつさも露呈しました。しかし、高倉監督は「チームの雰囲気は初戦から明らかに変わりました。精神的な気持ちの部分も、実際のプレーのレベルも一段階上がった」と、中3日という短い期間で選手たちがみせた成長を力強く語っています。「失敗から学び、それを原動力として反発する力」**こそが、なでしこジャパンの伝統的な強さの源泉であると言えるでしょう。
筆者の意見としては、世界的なフィジカル偏重の傾向がある中で、なでしこジャパンが見せた「技術と連動性」をベースとしたサッカーは、非常に価値があると感じています。特に、今回のスコットランド戦で見せたような、攻守の切り替えのスピードと中盤の献身的な守備は、世界の強豪と渡り合う上で不可欠な要素です。この初勝利によってチームの自信はさらに深まったはずであり、このポジティブな流れを維持することが、今後の戦いの鍵になるでしょう。次の戦いでも、この「日本らしさ」を爆発させ、勝利を積み重ねてくれることに大いに期待しています。
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