北海道札幌市から世界中の食卓へ、日本のソウルフードを届ける熱い挑戦が続いています。札幌ラーメンの代名詞とも言える「西山製麺株式会社」が、今まさに世界を舞台に驚きの試みを展開しているのをご存知でしょうか。彼らは単に自慢の麺を販売するだけでなく、なんと海外の調理人にラーメンの作り方をイチから伝授しているのです。一見すると遠回りに思えるこのユニークな取り組みが、世界中にファンを増やす起爆剤となっています。
インターネット上でも「麺を売るだけでなく文化ごと伝える姿勢が素晴らしい」「本物の味を海外で食べられるのは嬉しい」といった、称賛の声が多数寄せられています。現地に日本のラーメンを根付かせようとする真摯な姿が、多くの人々の心を動かしているようです。西山製麺が輸出しているのは、実に約400種類にも及ぶバラエティ豊かな麺だけではありません。海を越えてやってくる職人たちへの、惜しみない技術支援そのものなのです。
世界のニーズに応える無料の職人育成
2019年10月には、アラブ首長国連邦のドバイから、イスラム教徒であるムスリムの方でも安心して食べられる「ハラール」に対応したラーメンを開発したいという調理人が来日しました。ハラールとは、イスラム教の戒律で許された食材や調理法を指す言葉です。豚肉やアルコールを使えないという厳しい制約の中で、同社の職人が親身になってスープのコクを調整し、最適な麺を選び抜いて独自のレシピを完成させました。
驚くべきことに、こうしたレシピの構築や調理指導はすべて無料で行われています。海外担当の役員は年に100日も現地へ足を運び、様々な店舗のサポートに奔走しているというから驚きです。一見するとコストばかりがかかるように見えますが、西山隆司社長は「支援したお店が営業部員となって取引先を広げてくれる」と笑顔を見せます。手厚い口コミがヨーロッパを中心に広がり、今や輸出先は30カ国・地域にまで拡大しました。
現地化を認める「70パーセント」の極意
同社が1985年に海外進出を始めてから培ったノウハウは、現地の環境に寄り添うことでした。例えば欧米では水分中にカルシウムなどの鉱物が多く含まれる「硬水」が一般的です。麺のコシを引き出すために、日本の「軟水」に近づける専用のろ過機器の導入を勧めたり、茹で時間を長めにするよう助言したりしています。さらに、現地で調達が難しいもやしなどの食材は思い切って諦めるなど、柔軟な姿勢を崩しません。
西山社長は「教えるのは70%まで」という信念を持っています。基本の技術はしっかりと伝承しつつも、残りの30%は現地の文化や生活習慣に合わせて、自由に変えてもらうという方針です。厳しく縛りすぎないからこそ、その土地に根ざした新しいラーメンが誕生するのでしょう。筆者は、この「あえて完璧を求めない寛容さ」こそが、多様な海外市場で永続的に愛されるための真のグローバル戦略であると考えます。
ブームで終わらせない未来への投資
1953年の創業以来、1日に約20万食もの麺を生産するまでに成長した同社は、2018年秋に約6,000万円を投じて輸出専用の製麺ラインを本社工場に増設しました。これによって海外売上高は全体の1割ほどを占める3億8,000万円にまで到達しています。しかし、どれだけ規模が大きくなっても、単に製品を大量に右から左へ流すだけのビジネスに陥ることは決してありません。
世界中で巻き起こっているラーメン人気を一時的なブームで終わらせず、各国の文化として深く根を張らせるための地道な作業が、今も毎日続けられています。日本の伝統的な職人技と、海外の食文化への深いリスペクトが融合したとき、一体どんな新しい一杯が生まれるのでしょうか。世界を魅了し続ける札幌発のグローバル企業の挑戦から、今後も目が離せそうにありません。
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