激しい暴風雨や大雪のなか、危険を冒して走る大型トラックを見かけてハラハラした経験はありませんか。国土交通省は2020年1月、異常気象が発生した際に運送業者がトラックの運行をストップするかどうかを適切に判断するための、明確な基準(目安)を通達する方針を固めました。これまでは明確な指標がなく、現場の裁量や無理な運行に頼っていた物流業界にとって、安全確保へ向けた非常に大きな一歩となりそうです。
インターネット上ではこのニュースに対し、「命を守るために当然の措置」「これでドライバーが守られる」といった賛同の声が多数寄せられています。一方で、「荷物が届かなくなるのでは」と生活への影響を心配する声や、「もっと早く導入すべきだった」という意見も上がっているようです。現場の安全と私たちの便利な暮らしを天秤にかけず、社会全体で物流を支える意識の変革が今まさに求められています。
具体的な数値で示された運行ストップの基準とは?
今回発表される目安は、気象庁の気象データをベースに、天候が車両の走行に及ぼすリスクを数値化したものです。例えば雨量に関しては、1時間に20ミリから30ミリで「安全対策が必要」となり、30ミリから50ミリで「中止の検討」を促します。さらに50ミリを超えると「輸送は不適切」と段階的に規定されました。また、風速30メートル以上の暴風や、深い霧、積雪についても同様の基準が設けられます。
ここでいう「行政処分」とは、法律やルールに違反した業者に対して、国が営業停止や許可取り消しといったペナルティを科すことを指します。今回の通達では、「輸送は不適切」な状況にもかかわらず対策を怠って運行を続けた場合、運送業者は貨物自動車運送事業法に基づき処分の対象となる仕組みです。つまり、これからは「無理をして走らせるリスク」が格段に高くなることを意味しています。
荷主からの無理な要求を拒むための強力な盾に
これまで危険な状況でも運行が強行されてきた背景には、荷主(貨物の輸送を依頼する個人や企業)との上下関係がありました。「遅れたら契約を打ち切る」といった圧力を恐れ、業者側が中止を言い出せない構造があったのです。しかし今後は、業者が中止を決めたにもかかわらず荷主が配送を強要した場合、国が荷主に対して改善を求める「勧告」を行うことができるようになります。
さらに、万が一輸送をストップした際に備え、運送会社の運行管理者と荷主との間で迅速に連絡が取れる体制を構築することも義務付けられます。私はこの制度こそ、日本の物流の健全化に不可欠なものだと考えます。消費者が「いつでもすぐにモノが届く」という過剰な便利さを追い求めるあまり、ドライバーの命が軽視される風潮は看過できません。この通達を機に、社会全体で物流の安全を最優先する文化が定着することを切に願います。
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