イギリスのEU離脱(ブレグジット)を巡る混迷が深まるなか、2019年5月28日、EU執行機関のトップであるジャン=クロード・ユンケル欧州委員長は、ブリュッセルで開かれた臨時首脳会議の場で、ブレグジット協定の再交渉を断固として拒否する姿勢を改めて表明されました。これは、退陣を表明したメイ英首相の後任を選ぶ保守党党首選の候補者たちが、相次いで現行の離脱案の見直し、すなわち再交渉の必要性を主張していることへの、EU側からの明確な**「ノー」を突きつける強い反発のメッセージであると言えるでしょう。
ユンケル委員長は記者団の質問に対し、「私は極めてはっきりした立場をとってきた。(英国と)再交渉はしない」と断言されました。この強硬な姿勢の背景には、EU側がイギリス政府との間で何年もの時間をかけて苦労の末に合意に達した離脱案を、イギリス側の都合で何度も蒸し返されることへの強い不満と疲弊があると考えられます。
ブレグジットを巡っては、EUとメイ英政権の間で一度は離脱案に合意したにもかかわらず、その案がイギリスのウェストミンスター議会で承認される見通しが全く立たないという、異例の事態が続いています。次期首相候補の中には、この議会での膠着を打開するために、現行案の最も厄介な点であるアイルランド国境の「バックストップ」など、一部条項の再交渉をEUに求めると公約している者が少なくありません。
しかし、ユンケル委員長の今回の発言は、こうした次期首相候補たちの期待を打ち砕くものだと言えるでしょう。SNS上では、このEU側の強硬姿勢に対し、イギリスの強硬離脱派からは「EUはイギリスを尊重していない」「合意なき離脱に進むしかない」といった怒りの声が上がっています。一方で、EU支持者からは「EUの立場は筋が通っている」「交渉の安定性を守るためには当然だ」と、ユンケル氏の姿勢を評価するコメントも見受けられました。
私自身の意見ですが、ユンケル委員長の発言は、ブレグジットの難局において、次期イギリス首相が直面する厳しい現実を予見させるものです。EU側は、現行の離脱協定が「これ以上ない最善かつ唯一の合意」であるというスタンスを一貫して崩していません。したがって、イギリスの次期リーダーが、EUとの関係を立て直し、議会の承認を得るためには、再交渉という安易な道ではなく、国内で「妥協と決断」を強いられることになるでしょう。
このEUの鉄壁の意志は、イギリスの政治家たちに対し、EUとの交渉が既に限界点に達しており、残された選択肢は「合意なき離脱」を回避するための国内での政治的合意**しかない、という事実を突きつけているのです。2019年5月28日のこの発言は、ブレグジットの今後の道筋を決定づける重要な一幕であったと言えるでしょう。
コメント