日本株が「世界から孤立」する危機?PBR1倍割れ4割の衝撃と問われる企業改革の行方

アメリカとイランの緊迫した情勢が和らぎ、世界の金融市場は一時的な平穏を取り戻したかのように見えます。しかし、米国の出方に世界中が振り回される状況は依然として続いています。米中貿易協議の署名を控えた2020年01月15日、市場には再び警戒感が広がり、日経平均株価は4日ぶりに値下がりに転じました。世界経済の荒波に揉まれる日本市場ですが、自立した力強い上昇を見せるには、まだいくつもの厚い壁が立ちはだかっています。

前日までの好調な波が止められた背景には、米国が中国への追加関税を大統領選挙後まで維持するという報道がありました。この一報を受け、2020年01月15日の日経平均株価は前日比108円安となり、28年ぶりの高値更新はお預けとなっています。海外発のニュースに一喜一憂し、肝心な節目で足踏みをしてしまうのは、悲しいかな日本市場にとって「いつもの光景」と言えるでしょう。

2018年10月にバブル後の最高値である2万4270円を記録した際も、直後の米景気後退の懸念によって一気に押し戻された過去があります。その後、米国株をはじめ欧州や新興国が次々と最高値を更新する中で、日本だけが大きく出遅れる結果となりました。1年以上もの歳月を費やして、ようやく元のスタート地点に戻ってきたというのが今の現状です。SNS上でも「日本株だけが世界の成長から置いていかれている」といった嘆きの声が多く見られます。

この出遅れ感を如実に物語っているのが、あまりにも多すぎる「割安放置銘柄」の存在です。東京証券取引所の1部上場企業のうち、なんと全体の44%にのぼる企業が「PBR1倍割れ」という異常事態に陥っています。PBR(株価純資産倍率)とは、企業の株価が「1株あたりの純資産」の何倍まで買われているかを示す指標です。これが1倍を割り込んでいる状態は、企業が今すぐ解散して資産を分け合った方がマシという、不名誉な評価を意味します。

欧州の15%、中国の11%、米国の5%という数字と比較しても、日本の44%という割合は群を抜いて異常です。一見すると「お買い得な株が多い」と捉えられがちですが、専門家からは「もはや1倍割れを割安の基準にする時代は終わった」との厳しい指摘が上がっています。現代の投資家は、目に見える工場や設備だけでなく、知的財産やブランド力といった「見えない資産」を駆使して急成長する企業に、熱い視線を注いでいるのです。

日本株の評価が低い最大の原因は、ROE(自己資本利益率)の低さにあります。これは企業が「株主から預かったお金を使ってどれだけ効率よく稼げたか」を表す指標です。かつては5%を下回っていましたが、企業統治の改革によって10%前後まで改善したものの、2018年以降は成長が止まっています。欧州の11から12%台や、成長著しいアジア諸国と比較しても、今の日本企業の稼ぐ力は見劣りしていると言わざるを得ません。

ただ、日本企業にも変化の風は吹き始めています。これまで日本の弱点とされてきた労働市場の流動性の低さ、つまり「一度雇ったら解雇しにくい慣行」にメスが入りつつあるのです。2019年には、経団連の会長やトヨタ自動車の社長が「終身雇用の維持はもう難しい」と相次いで発言し、大きな話題となりました。法的な制約が薄れ、大企業による不採算事業の売却や、成長分野への人材シフトが少しずつ本格化しています。

世界中で激しい人材獲得競争が繰り広げられる今、日本企業に求められているのは何よりも「変革のスピード」ではないでしょうか。海外の景気が良くなったおかげで、一時的に株価がバブル後の最高値を超えたとしても、それは実力ではありません。痛みを伴う構造改革を急がなければ、世界の投資マネーから見捨てられてしまうでしょう。経営陣がサラリーマン意識を捨て去り、真の成長へと舵を切る姿勢を、私たちは厳しく見守る必要があります。

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