中部のビジネスシーンに大きな変化の風が吹き抜けようとしています。中部経済同友会は2020年1月16日、次期の代表幹事として日本特殊陶業の会長を務める尾堂真一氏が就任する人事を公式に発表しました。人工知能(AI)をはじめとする技術革新が急速に押し寄せる現代において、このリーダーシップ交代は多くの経済人から注目を集めています。SNS上でも「これからの製造業や地域経済にデジタル変革をもたらしてくれそう」といった、今後の展開を期待する前向きな声が次々と上がっていました。
現在、世界の市場では目まぐるしいスピードで技術のパラダイムシフトが起きています。同日に開かれた記者会見の席で、尾堂氏は「グローバルな競争で生き残るためには、何よりもデジタル化の波に追いつくことが不可欠である」と、強い危機感とともに決意を表明されました。ここで言及されているデジタル化、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、単にITツールを導入するだけでなく、デジタル技術を活用してビジネスモデルや組織そのものを根底から変革することを意味します。
尾堂真一氏は鹿児島県の出身であり、1977年に日本特殊陶業へと入社されました。その後は着実にキャリアを重ね、2011年には社長に就任し、2016年からは会長を兼務、そして2019年からは会長職に専念されています。中部経済同友会には2013年に入会しており、これまで企画委員会の委員長として手腕を振るってきました。長年、ものづくりの最前線で指揮を執ってきた実績があるからこそ、次世代のデジタル戦略にも説得力が生まれるのでしょう。
今回の人事は、現・筆頭代表幹事である大同特殊鋼の嶋尾正会長が任期満了を迎えることに伴うものです。尾堂氏は2020年4月22日に開催予定の定時総会を経たのち、正式に代表幹事の椅子に就くこととなっています。会見の中で同氏は「それぞれの企業が培ってきた貴重な知見や優れた技術をデータ化し、それを互いに共有できる強固な仕組みを構築したい」と抱負を熱く語られました。これこそが、地域全体の競争力を底上げする鍵になると私は確信しています。
経済同友会の代表幹事は3人制が導入されており、その任期は3年間と定められています。2020年4月からの筆頭代表幹事には、敷島製パンの盛田淳夫社長が就任する予定です。企業の垣根を越えて暗黙知をデータ化し、共有財産にするという尾堂氏のビジョンは非常に画期的ではないでしょうか。伝統的なものづくりが強みの中部地域が、この新体制によってどのようにデジタル先進地域へと生まれ変わるのか、今後の動向から目が離せません。
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