岡山県真庭市に拠点を置く木製建材のリーディングカンパニー、銘建工業が最先端の技術を詰め込んだ新本社の運用をスタートさせました。これまで敷地内に分散していた4つのオフィスを機能的に1つへと集約し、自社の強みを詰め込んだ象徴的なモデルハウスとして誕生させたのです。SNS上では「木の温もりと洗練されたデザインが融合していて美しい」「こんな開放的なオフィスで働いてみたい」といった感嘆の声が次々と上がっており、新しい時代の働き方を予感させる建築として大きな注目を集めています。
2019年7月に着工したこの新社屋は、わずか半年という驚異的なスピードで完成を迎えました。特に建物の骨組みとなる木材の組み立て作業は、2019年9月の1カ月間だけで完了しています。総工費3億8000万円を投じた建物は、木造2階建てで延べ床面積は約990平方メートルに及びます。外観は周囲の景観に溶け込む落ち着いたブラウンの色調でまとめられており、一歩足を踏み入れると、そこには息をのむほど美しいキツネ色の木肌が広がる大空間が出迎えてくれます。
設計コンペを勝ち抜いた先進的なデザインの肝となるのが、ひし形状に組まれた美しい格子です。この格子が伝統的な大黒柱に代わって建物を力強く支えることで、仕切り壁のない圧倒的な開放感を実現しました。さらに窓には2枚のガラスの間に空気の層を設けた「ペアガラス」が採用され、室内の温度を一定に保つ高い断熱性を発揮します。調光可能なLEDによる間接照明も効果的に配置されており、地球環境に配慮した省エネルギーな設計が細部まで徹底されている印象を受けます。
この先進的なオフィスで主役を担っているのが、「CLT(直交集成板)」と呼ばれる次世代の木質建材です。これは、木材の繊維方向が互い違いに直角に交わるように積み重ねて接着した大判のパネルを指します。従来の木材に比べて反りや歪みが出にくく、断熱性や遮音性に優れているのが特徴です。コンクリートに匹敵するほどの強固な強度を持ちながら、重量は圧倒的に軽いため、建物を組み立てる期間を大幅に短縮できる画期的な建材として期待されています。
銘建工業はCLTの国内生産シェアの55%を誇るトップ企業であり、その技術力は折り紙付きです。現在、日本の住宅市場は人口減少に伴って戸建ての需要が伸び悩む厳しい局面に立たされています。しかし、この軽くて強いCLTが普及すれば、これまでコンクリートや鉄骨が当たり前だった大型商業施設や集合住宅の木造化が一気に現実味を帯びてくるでしょう。建設コストの削減にもつながるこの建材は、これからの都市建築のあり方を根本から変える可能性を秘めています。
私たちが生きるこれからの時代、建築における環境保全への取り組みは避けて通れない最優先課題です。同社は2021年に新たなバイオマス発電所の建設も計画しており、持続可能なサイクルをビジネスの核に据えています。木材という自然の恵みを最大限に活かし、最先端の技術で命を吹き込む同社の挑戦は、日本の森林資源の活性化だけでなく、脱炭素社会の実現に向けた強力な一歩となるはずです。この美しい新本社を契機に、木造建築の新しい扉が開かれることを期待してやみません。
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