自動車業界にいま、大きな変革の波が押し寄せています。欧州や中国を中心に二酸化炭素の排出規制が世界規模で厳格化されており、自動車メーカーは新車販売全体の平均排出量を抑える必要に迫られているのです。この課題をクリアする切り札として注目を集めているのが、環境性能に優れたコンパクトカーの電動化にほかなりません。燃費性能に優れた小型ハイブリッド車の重要性は、これまでにないほど高まりを見せています。
こうした市場の要求に応えるため、日本の自動車部品メーカー各社は主要な駆動システムの小型化へ一斉に舵を切りました。従来の中型・大型車向けシステムをそのまま流用することは難しく、限られたスペースに収めるためにはシステム全体の体積を1割近く削減しなければならないからです。そこで各社は、これまで独立していた複数の部品を一つにまとめる「ユニット部品」の開発を急速に進めており、技術革新の火花を散らしています。
電子部品大手のケーヒンは、モーターを制御して電力の状況を賢く管理するパワーコントロールユニットの変革に成功しました。点在していた複数の電子部品を変速機と一体化させることで、従来品と比べて体積を1割も減らすことに成功したのです。この画期的な省スペース化のニュースに対してSNS上では、「日本のものづくり技術の底力を見た」「コンパクトカーの車内空間が狭くならないのは嬉しい」といった歓喜の声が寄せられています。
また、変速機大手のジヤトコもモーターと変速機を高度に融合させた一体型の駆動部品を開発しました。構成パーツの数を徹底的に見直したことで、重量と体積を数パーセント削減することに成功しています。自動車用バネで知られるニッパツも負けてはいません。冷却用の部品と金属回路を直接つなぐ特殊な金属基板を開発し、余分な部品を排除しました。これにより数パーセントの軽量化と、冷却性能の25パーセント向上を同時に達成しています。
自動車メーカーの動きも連動しています。2020年02月にはトヨタ自動車が新型車「ヤリス」を市場に投入するほか、ホンダも大人気車種「フィット」を刷新する予定です。ホンダはミニバンなどの大型車に使われていたシステムを極限まで小さくして搭載し、三菱自動車もプラグインハイブリッドシステムの小型化を検討し始めました。日産自動車も独自のハイブリッド技術である「eパワー」の搭載車種を広げる方針を掲げています。
私は、この部品メーカーによる極限のダウンサイジングこそが、日本の自動車産業が未来を生き抜く強力な武器になると確信しています。市場調査では2021年の世界市場が2010年比で6割も拡大すると予測されており、環境規制という高いハードルはむしろ技術力を底上げする絶好の機会です。個々の部品が小さく、そして賢くなることで、私たちが乗るエコカーはさらに進化を遂げていくに違いありません。
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