LNG価格下落でどう変わる?2020年のエネルギー市場と東京ガスの次世代戦略に迫る!

毎日の暮らしを支えるエネルギーの現場で、いま大きな変化が起きています。2019年の液化天然ガス、いわゆる「LNG」のアジア向けスポット価格が、3年ぶりの安値を記録しました。SNS上でも「ガス代や電気代に好影響はあるの?」といった生活に直結する疑問や、「エネルギー市場の勢力図が変わりそうだ」というビジネス層からの鋭い指摘など、多くの反響が寄せられています。

そもそもLNGとは、気体である天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体にした資源のことです。液体にすることで体積が600分の1に縮小するため、専用のタンカーで大量に運ぶことが可能になります。日本のように資源に乏しい国にとっては、都市ガスや火力発電の燃料として、まさに現代社会を動かすためになくてはならない最重要エネルギーの一つといえるでしょう。

この価格下落の背景について、東京ガスの執行役員である棚沢聡氏は、世界的な供給過剰が原因であると語っています。原油が高騰していた2014年以前に投資が決定したアメリカやオーストラリア、ロシアなどの大型開発案件から、次々と出荷が始まったためです。市場にモノが溢れたことで、必要なときにその場で取引する「スポット品」の価格が下落しました。

一方で、これまで世界の需要を牽引してきた中国のガス需要に陰りが見えていることも、市場に大きな影を落としています。米中貿易摩擦を背景とした経済活動の減速が、エネルギー消費の伸び悩みにつながっている模様です。私たちは環境に優しいクリーンエネルギーとして、天然ガスの需要は無限に伸び続けると考えがちですが、世界経済の動向と直結している現実を忘れてはなりません。

気になる2020年の見通しですが、中東情勢の緊迫化という突発的な要因を除けば、需給バランスが劇的に変わることはない見込みです。市場では、需要と供給が真に調和するのは2023年ごろになると予測されています。安値が続くスポット市場ですが、常に安定して手に入るとは限らないため、企業にとっては長期契約とスポット調達のバランスが極めて重要になります。

こうした状況に対し、東京ガスは従来の枠組みにとらわれない柔軟な戦略を打ち出しています。同社は2019年に、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと石炭価格に連動した画期的なLNG購入契約を締結しました。これまでの原油価格だけに頼らない多様な価格設定や、10年超の長期から5年程度の短期契約へのシフトなど、リスク分散への本気度が伝わってきます。

日本の人口減少に伴い、国内のガス需要の大幅な伸びは見込めないのが冷酷な現実です。そこで同社は、これまでは難しかった調達後の「転売制限」が緩和されつつある追い風を活かし、海外でのトレーディング事業を育成する方針です。2030年には500万トンの取扱量を目指すとしており、守りの姿勢から攻めのビジネスへと舵を切る姿は非常に魅力的です。

さらに、低炭素時代に向けた新しい動きも始まっています。国際海事機関(IMO)が2020年1月1日に導入した船舶燃料の環境規制により、従来の重油に代わってLNGを燃料とする環境配慮型の船舶に注目が集まっています。現在はまだ建造数が少なく市況に大きな影響はありませんが、中長期的に巨大な新市場へと化ける可能性を大いに秘めているでしょう。

日本が1969年11月4日に初めてLNGを輸入してから50年以上が経過しました。年明けの2020年1月には、米国とイランの対立からホルムズ海峡の輸送懸念が高まり、肝を冷やす場面もありました。カタールなど中東への依存度は約2割ですが、私たちは改めて調達先を分散する重要性を学び、エネルギーの未来を真剣に考えるべき局面に立っています。

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