2019年11月6日、日本のエネルギー史における大きな節目を祝うため、横浜市内で「LNG導入50周年記念式典」が華やかに執り行われました。東京ガスをはじめとする関係各社が集い、半世紀にわたる歩みを振り返る貴重な機会となったのです。SNS上では「今の便利な暮らしがあるのは、この転換があったからこそ」といった感謝の声や、「地球に優しいエネルギーの先駆けだった」という再評価の投稿が相次いでいます。
日本における液化天然ガス、いわゆるLNGの歴史が幕を開けたのは、今からちょうど50年前の1969年11月4日のことでした。アメリカのアラスカ州から海を越えてやってきた巨大な輸送船が、横浜市にある東京ガスの根岸工場に初めて接岸したのです。この瞬間こそが、日本のエネルギー供給体制が劇的な変化を遂げる第一歩となり、戦後の高度経済成長を支えるクリーンな燃料としての地位を確立する起点となりました。
そもそもLNGとは「Liquefied Natural Gas」の略称で、天然ガスをマイナス162℃という超低温で冷却して液体にしたものです。気体の状態に比べて体積が約600分の1にまで凝縮されるため、一度に大量のエネルギーを効率よく運べるメリットがあります。また、燃焼時に発生する二酸化炭素や窒素酸化物が石炭や石油に比べて格段に少なく、環境負荷が低い「化石燃料の優等生」として、現代社会には欠かせない存在といえるでしょう。
導入初年度である1969年度の輸入量は、わずか18万トンにとどまっていました。しかし、都市ガスの原料転換や火力発電所での利用拡大により、その需要は右肩上がりに成長を続けてきました。2018年度の実績を見てみますと、輸入量は8055万トンという驚異的な規模にまで膨れ上がっています。わずか50年の間に、私たちの生活を支えるエネルギーの屋台骨として、約450倍もの成長を遂げた計算になるのです。
編集者の視点から申し上げますと、この50周年は単なる過去の記念日ではなく、これからの脱炭素社会に向けた再出発の号砲だと感じています。LNGは再生可能エネルギーの不安定さを補う調整役としても期待されており、水素社会への架け橋となる重要な役割を担っています。かつてアラスカからの初入港に胸を躍らせた先人たちの情熱を引き継ぎ、私たちはより賢く、よりクリーンにこの資源を活用していく知恵が求められているのではないでしょうか。
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