2020年01月13日、世界は中東情勢や香港のデモ、イギリスのEU離脱といった激動のニュースで幕を開けました。しかし、日々の出来事の底流には、私たちの社会を根本から変える巨大な技術のトレンドが潜んでいます。今回はこれからの10年を支配する、見逃せない3つの技術潮流を編集部の視点を交えてご紹介します。
SNS上でも「地政学リスクも気になるけれど、水面下で進む技術革新のスピードに驚かされる」といった声が上がっており、未来への関心は高まる一方です。日々のニュースに惑わされず、時代の本質を見極める眼を持つことが今まさに求められています。
中国が牽引する金融革命「テックフィン」の衝撃
まず注目すべきは、中国の圧倒的な技術がもたらす金融の変革です。欧米では金融と技術を融合させた「フィンテック」という言葉が主流ですが、中国では技術を起点に金融を再定義する意味を込めて「テックフィン」と呼ばれています。これはいわゆる「後発優位」の好例で、既存の銀行インフラが不十分だったからこそ、一気に最先端の仕組みが普及したのです。
中国におけるスマホ決済の普及スピードは驚異的で、2017年には決済額が約17兆ドルに達し、アメリカの50倍を超えています。アリババやテンセントといった巨大企業が市場を牽引しており、この動きはさらに加速するでしょう。
世界にはまだ銀行口座を持てない人が約17億人も存在します。彼らがネットに繋がった時、中国流の便利で安価なデジタル金融を求めるのは確実です。世界標準の金融システムが中国によって書き換えられる日は、そう遠くないと私は確信しています。
限界を超えるデータ処理能力と進化するAIソフト
2つ目の潮流は、データ処理能力の爆発的な向上です。これまで半導体の性能は18ヶ月で2倍になるという「ムーアの法則」に従ってきましたが、物理的な限界が近づいています。しかし、心配は無用です。ハードウェアの限界を補うように、ソフトウェアの最適化が急速に進んでいるからです。
ネットでも「ハードがダメならソフトで圧倒する時代が来た」と、技術者たちの間で大きな盛り上がりを見せています。特に人工知能(AI)や暗号資産の分野では、ソフトの進化が目覚ましい状態です。
これからは、単に機械の性能を上げるだけでなく、賢いプログラムによって限界を突破していく時代になります。このソフトウェア革命が、これからのデジタル社会を支える強力なエンジンになることは間違いないでしょう。
命をリデザインするゲノム解読コストの劇的低下
最後のトレンドは、遺伝子情報を読み解く「ゲノム解読」の驚くべき低価格化です。医療業界はこれまで、新薬開発の難易度が上がり薬価が高騰する「イールームの法則」に悩まされてきました。これは先ほどのムーアの法則の逆、つまり進歩が鈍化してコストが上がる現象を指します。
しかし、ゲノム解読コストは2006年の1400万ドルから、わずか10年間で1000ドル前後にまで暴落し、今や100ドルを切る水準も見えています。2025年までに20億人が自身のデータを持つと予測されており、オーダーメイドの個別化医療への期待が高まっています。
この技術は特定の病気を根絶する希望である一方、人間が生命の設計図を自ら書き換えるという倫理的な恐ろしさも孕んでいます。利便性と倫理のバランスをどう取るべきか、私たちは真剣に議論を始めるべきです。
未来を見据える私たちが持つべき視点
私たちは往々にして、技術の短期的影響を過大評価し、長期的影響を過小評価するという「アマラの法則」に陥りがちです。10年後にこれら3つの潮流がどんな結末を迎えるかは誰にも分かりません。しかし、この変化の波を捉え続けた者だけが、エキサイティングな未来の主役になれるはずです。
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