斜陽からの大逆転!NTT東日本の異色イノベーションと中古レコード店に学ぶ「変わる勇気」のマーケティング

かつては私たちの生活に欠かせなかった固定電話ですが、スマートフォンの普及によってその市場は大きく縮小しています。2020年01月13日、NTT東日本が発表したデータによると、同社の音声収入は減少の一途をたどっており、2018年度の売上高は前年度比3%減の1兆7406億円と苦戦が続いていました。20年前に比べて売上規模がほぼ半減というこの厳しい現実に対し、同社は今、「ただの通信会社」からの脱皮をかけて、これまでにない大胆な方向転換を推進しています。

NTT東日本の井上福造社長が掲げる新しいビジョンは、地域に密着してあらゆる課題を解決する「ユーティリティープレーヤー」への進化です。ユーティリティープレーヤーとは、野球などのスポーツで複数のポジションを器用にこなす万能選手を意味する言葉ですが、ビジネスにおいては1つの専門領域にとらわれず、多角的なサービスを展開する企業を指します。同社は今、これまで培ってきた通信技術をベースに、農業やeスポーツといった驚きの新領域へ次々と参入しているのです。

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ローカル5GとIoTが変える地域社会の未来

その象徴とも言えるのが、地域限定の次世代通信規格である「ローカル5G」への名乗りです。5Gとは超高速・大容量・低遅延を特徴とする次世代の無線通信技術のことで、これを特定の敷地内で自社運用できるようにするのがローカル5Gです。井上社長は、これまでインターネット環境とは無縁だった農場や倉庫、公園にこそ、モノをインターネットにつなぐ「IoT」の大きなニーズがあると見込んでいます。この先進技術により、地域の防犯や作業の省力化といった課題解決を狙います。

さらに、若者を中心に熱狂的な盛り上がりを見せる「eスポーツ」の分野にも本格参入しています。大会の企画や運営、さらには安定したネットワーク環境の構築や教育研修までをトータルで請け負うビジネスを展開しており、すでに多くの自治体などから数十件もの引き合いが寄せられている状況です。この通信会社らしからぬ攻めの姿勢に対して、SNS上では「NTT東日本がeスポーツや農業に本気で取り組む姿が新鮮」「地域のインフラを守る企業だからこそ保守力への安心感がある」といった驚きと期待の声が広がっています。

また、同社は社有車である約8000台の自動車の稼働率に着目し、空き時間を活用したカーシェアリング事業にも乗り出しています。こうした独自の試みにより、5年後には農業で50億円、eスポーツで40億円という数千万円、数百億円規模の新規事業を複数育てる計画です。このように既存のイメージに縛られず、汗をかいて新しい価値を生み出そうとする姿勢は、人口減少や人手不足に悩む日本の地方都市にとって、非常に心強いパートナーになるのではないでしょうか。

超アナログから世界へ羽ばたいた中古レコード店の挑戦

一方で、企業が生まれ変わるために必要な「強い意志」を証明しているのが、東京・渋谷の中古レコード販売会社「FTF」の華麗なデジタルシフトです。1994年に創業した同社は、かつて実店舗での販売を中心とする超アナログな経営を行っていました。しかし、時代の変化の荒波に揉まれ、何度も廃業寸前に追い込まれる危機を経験します。そこで武井進一社長が断行したのが、徹底的な経営改革とデジタルの積極的な導入でした。

FTFは、日本版の洋楽レコードが海外で非常に高く評価されている点に目をつけ、世界的なインターネット競売サイトである「イーベイ」を活用してグローバルな販路を切り開きました。その結果、2019年には米国以外で最も商品を売り上げた企業として、イーベイの「グローバル・セラー・アワード」を受賞するまでに急成長を遂げたのです。同業他社から「レコードを扱う人間がパソコンを触ってどうする」と心ない批判を浴びながらも、自らの信念を貫いた結果の快挙と言えます。

さらに同社は2019年04月、業界初となる画期的なレコード専用フリマアプリ「GO DIG」を開発しました。このアプリには、ジャケットをスマートフォンで撮影するだけで、100万件以上のデータベースから自動的に商品情報を特定できる「画像認証技術」が搭載されています。こうした先進的な取り組みと、従業員の待遇改善によって企業組織を強化したことで、今ではSNSでの告知だけで優秀な人材が集まる魅力的な企業へと変貌を遂げています。

大企業のNTT東日本も、中小企業のFTFも、共通しているのは「変わらなければ生き残れない」という強烈な危機感と、それを実行に移すリーダーの決断力です。激変する現代において、過去の成功体験にしがみつくことほど危険なことはありません。自らの強みを見つめ直し、新しいテクノロジーを柔軟に取り入れる姿勢こそが、これからのビジネスを切り開く最大の武器になるでしょう。2020年という新しい時代を迎えた今、私たち自身も変わる勇気を持つべきではないでしょうか。

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