2020年01月21日、いよいよ通常国会が召集されました。政府や与党が最優先で成立を目指すのは、事業規模が実に26兆円にも達する大規模な経済対策の補正予算案です。しかしこれほどの巨額投資であるにもかかわらず、市場や世間の期待感は驚くほど冷めています。かつてのような景気浮揚への熱気が感じられない現状に対し、SNSでは「本当に効果があるのか」「税金の使い方を根本から見直すべきだ」といった、冷ややかな反響や疑問の声が相着いています。
この冷淡な空気感は、過去の歴史と比較するとより鮮明になります。思い返せば1998年11月に小渕恵三内閣が打ち出した27兆円規模の緊急経済対策のときは、策定にいたるまで激しい議論が巻き起こっていました。当時はバブル崩壊後の金融危機やデフレ不況という、日本経済が崖っぷちに立たされた悲壮感の中にありました。それだけに、国債を増発してでも景気を動かそうとする政府の強い姿勢に、国民も大きな期待と熱量を寄せていたのです。
公共事業の役割変化と地方が抱える切実な現実
かつて有力な景気浮揚策とされた公共事業ですが、この20年余りで政治と経済を取り巻く環境は激変しました。2000年代初頭の小泉純一郎政権による聖域なき構造改革を経て、公共投資は徐々に縮小へと向かいます。さらに地方の深刻な人口減少により、国が半分を補助しても自治体が残りの半分を負担して新しい施設を作るという、従来の仕組み自体が成り立たなくなりました。ニーズがないのに箱ものを作り続ける時代は、完全に終焉を迎えています。
今回の経済対策では、自民党の二階俊博幹事長が「真水で10兆円程度が必要だ」と主張して予算の目安を作りました。ここで言う「真水(まみず)」とは、経済対策の総額のうち、国や地方の直接的な財政出動を指す専門用語です。これに対して国会では激しい反対論や上積みを求める泥沼の議論はなく、手続きは淡々と進行しました。予算の中身もかつてのような新規の建設ではなく、災害復旧や防災対策が中心という実質的な内容にシフトしています。
ばらまき政治の終焉とデジタル社会へ向けた新たな胎動
かつて田中角栄元首相が掲げた「日本列島改造論」に代表されるように、経済対策といえば道路や橋を作る「ばらまき」が定番でした。しかし現在では、予算獲得のために地方自治体の関係者が大挙して上京し、都内のホテルに泊まり込むような光景は激減しています。私は、この「熱気のなさ」こそが、むしろ日本経済が健全な新陳代謝を起こすためのチャンスであると考えます。コンクリートから人、そしてテクノロジーへと投資の質を変えるべき時が来ています。
実際に今回の予算編成の現場では、これまでの政治と距離を置いていたITやデジタル業界の声を積極的に取り入れようとする動きが見られました。今やSNS上でも「これからはスマートシティやDXへの投資こそが必要だ」という先進的な意見が目立ちます。一見すると盛り上がりに欠ける今回の経済対策ですが、それは古い利権政治が終わりを告げ、未来のデジタル社会に向けた新しい時代の胎動が、静かに始まっている証拠だと言えるでしょう。
コメント