ASEAN経済を動かす中国の巨大な影!意識調査から見えた東南アジアの本音と「信頼の国」日本の立ち位置

東南アジア諸国連合、通称「ASEAN(アセアン)」の国々で、中国の存在感がかつてないほどに高まっています。シンガポールの高名な政府系シンクタンクである「ISEASユソフ・イシャク研究所」が、2019年11月から2019年12月にかけて興味深い意識調査を実施しました。この調査は東南アジア10カ国の官僚や研究者、ビジネスエリートなど1308人を対象としたもので、彼らの本音が如実に表れています。

調査結果によると、経済面で地域に最も強い影響を及ぼしている国として、なんと79.2%もの人々が「中国」の名前を挙げました。政治的な面でも52.2%が同国を選択しており、前年の調査と比べてもその数値は大きく上昇しています。圧倒的な資金力やインフラ投資を背景に、中国パワーが確実に浸透している現状が浮き彫りになりました。SNS上でも「もはや中国の投資なしでは東南アジアの発展は語れない」といった、現実を受け止める声が多く聞かれます。

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深まる依存度と拭いきれない警戒感のジレンマ

しかし、この急速な接近には複雑な胸の内が隠されているようです。今回の調査では、中国の影響力増大に対して「懸念している」と答えた人が、経済面で約7割、政治面では8割を超えました。これは「歓迎する」という意見を大きく上回る圧倒的な数字です。お金は必要であるものの、過度に依存することで国家の主権や安全保障が脅かされるのではないかという、強い警戒心がダイレクトに反映された結果と言えるでしょう。

ここで注目したいのが、「米中どちらの陣営に付くべきか」という究極の選択に対する回答です。全体ではアメリカを支持する声が53.6%と過半数を占めましたが、国別に見ると景色は一変します。ベトナムやフィリピンなど、南シナ海の領有権問題を抱える3カ国を除く、ラオスやインドネシア、マレーシアといった7カ国では、皮肉にも中国を選ぶという回答が多数派を占める結果となりました。

筆者は、この結果こそが今の東南アジアが置かれたリアルなジレンマだと考えます。理念や安全保障では民主主義国家であるアメリカに親近感を抱きつつも、日々の経済成長や目の前の利益を考えると、隣国である中国の巨大利権を無視することは不可能なのです。SNSでも「背に腹は代えられないという各国の苦悩が透けて見える」といった鋭い分析が飛び交っていました。

高まる「信頼」と反比例する日本の経済的プレゼンス

それでは、我が国「日本」に対する視線はどうでしょうか。調査の中で、世界の安定や繁栄に貢献する国として、日本は61.2%という極めて高い信頼度を獲得し、他国を圧倒しました。これまでに日本が培ってきた丁寧な開発援助や、誠実な外交姿勢が現地で高く評価されている証拠であり、日本人として誇るべき結果と言えます。

その一方で、悲しい現実も突きつけられました。日本が経済面で最大の影響力を持つと答えた人はわずか3.9%にとどまり、政治面でも1.8%という寂しい結果に終わっています。現地の人々は日本を心から「信頼できるパートナー」と認めつつも、現在のパワーバランスにおいては、主役ではなく脇役に甘んじていると見なしているようです。

ただ信頼されるだけでなく、いかにして実利を伴う存在感を示していけるかが、今後の日本外交と経済界の大きな課題でしょう。単なる資金量では中国に対抗できずとも、現地の雇用を守り、技術を現地に深く根付かせる「質の高い投資」こそが、日本が選ばれ続けるための突破口になるはずです。ASEANにおける日本の真の価値が、今まさに試されているのではないでしょうか。

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