今、日本のビジネス界で最も熱い視線が注がれているのが「スタートアップ」です。2013年以降、日銀が推し進める金融緩和の波に乗り、民間と政府の双方がリスクを取って資金を供給する環境は大きく好転しました。デジタル技術の急速な普及に伴い、シェアリングエコノミーや人工知能、さらには最先端の再生医療といった分野で次々と革新的な企業が産声を上げています。大企業や地方自治体もこれらを支援し、共に新しい価値を生み出す「オープンイノベーション」に乗り出しました。
インターネット上では「若い世代の挑戦を応援したい」「大手企業の変化に期待している」といった前向きな声が溢れており、SNSでもこの盛り上がりに対する関心は高まる一方です。オープンイノベーションとは、自社だけでなく外部の技術やアイデアを組み合わせる革新的な手法のこと。まさに官民が一体となり、新しい時代の経済を引っ張るプレイヤーとして、スタートアップに対する期待感が最高潮に達している様子が伺えますね。
こうした現状を「第4次ベンチャーブーム」と位置づける意見もあります。振り返れば日本は過去に3回の転換期を経験してきました。1970年の第1次はハイテク産業が、1982年の第2次はサービス業などの3次産業へのシフトが背景にありました。そして1990年代半ばから2006年ごろに及んだ第3次では、ウェブ関連の技術がブームを力強く牽引した歴史を持っています。短期間で爆発的に人気が高まることを意味するブームですが、私たちは一過性の流行として捉えるべきではありません。
私は、スタートアップという存在を単なる「期待の星」で終わらせてはならないと考えます。長期的かつ広い視野を持ち、古い産業構造を根本からガラリと変えてくれる本物の「担い手」として見守る姿勢が不可欠ではないでしょうか。幸いなことに、現代の日本には失敗を恐れずに新しい事業を立ち上げる起業家精神、すなわち「アントレプレナーシップ」が若い世代を中心にしっかりと根付き始めています。コワーキングスペースや育成組織の充実もその挑戦を支えています。
メガバンクもこの潮流を強力に後押ししています。三井住友銀行グループは2015年からビジネスコンテストである「未来」を開催し、2017年には流行の発信地である渋谷にオープンイノベーション拠点を設立しました。これらは単なる資金援助に留まらず、スタートアップが次のステージへと飛躍するための伴走者になるという強い意思の表れです。しかし、上場を果たした途端に成長の壁にぶつかってしまう企業が少なくないという現実にも、私たちは目を向ける必要があります。
せっかく芽生えた新産業の種が、途中で失速してしまうのは非常にもったいないことです。だからこそ、商業銀行が本来持つ強みである安定した資金調達のサポートや、豊富な顧客ネットワークを結びつける「ビジネスマッチング」の役割が重要になってきます。三井住友銀行が目指す、企業が成長した後もヒト・モノ・カネの全方位から関わり続ける姿勢には、私も深く共感いたします。過去のブームが現在の産業の礎を築いたように、今ここから日本の新しい未来が創られていくに違いないでしょう。
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