北海道の海に激変!イカ不漁を救う「逆転のブリ」とブランド化への挑戦

日本の海で今、これまでの常識を覆すような「漁業異変」が巻き起こっています。地球温暖化による海水温の上昇は、私たちの食卓に欠かせない魚たちの生態系を大きく変えてしまいました。これまで当たり前のように獲れていた魚が姿を消す一方で、本来なら姿を見せないはずの魚が大量に押し寄せるという、予測不能な事態に直面しているのです。

かつて「イカの街」として名を馳せた北海道函館市では、深刻なスルメイカの不漁が続いています。2019年12月02日現在の報告によれば、2018年度の取扱量は約840トンと過去最低を記録し、価格の高騰に歯止めがかかりません。しかし、この苦境を救う救世主として、意外な魚が注目を集めています。それが、かつては北の海で珍しかった「ブリ」の存在です。

北海道大学の桜井泰憲名誉教授によると、太平洋側の海水温が平年より5度から6度も上昇した影響で、サンマやサケが寄り付かなくなったといいます。その代わりに北上してきたのがブリであり、2017年の道内漁獲量は10年前の3.4倍にあたる約7686トンにまで膨れ上がりました。網を上げればサケではなくブリが溢れるという、驚きの光景が日常となっているのです。

SNS上では「最近の函館はイカよりブリの方が安くて驚く」「北海道産のブリがこんなに脂が乗っているなんて!」と、戸惑いながらも新しい味覚を歓迎する声が広がっています。この変化をチャンスに変えようと、北斗市のソネ食品は2018年にブリの燻製「鰤燻(ぶりくん)」を開発しました。イカの数分の一という安価な仕入れ値を活かし、収益を劇的に改善させています。

地元の函館水産高校も負けてはいません。彼らは「ブリのオイル漬け缶詰」という、保存性に優れた新商品の開発に情熱を注いでいます。若き知恵を結集し、地元経済の新たな柱を育てようとする試みは、地域に希望の光を灯しているでしょう。一方で、道民にはブリを食べる習慣が少なかったため、地元消費の拡大が今後の大きな課題となっています。

そこで、ひだか漁協では鮮度を武器にした「ブランド化」に乗り出しました。船上で素早く血抜きを行う「生き締め」を徹底し、滅菌海水での洗浄や脂肪率の測定を経て、厳選された個体にのみタグを付けて出荷しています。この「生き締め」とは、魚の鮮度と味を保つために即座に脳死状態にする高度な技術であり、熟練の技が魚の価値を飛躍的に高めるのです。

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技術が生む付加価値!庄内サワラに見る漁業の未来

同様の取り組みは山形県庄内地域でも2010年から始まっていました。痛みやすいサワラを船上で丁寧に処理し、「庄内おばこサワラ」としてブランド化に成功しています。抜き打ちの鮮度チェックまで行う徹底した品質管理は、消費者の信頼を勝ち取るための絶対条件といえるでしょう。単に獲るだけでなく、いかに価値を高めて届けるかが問われています。

海洋環境の変化は、一見すると自然の脅威に思えます。しかし、私はこの変化を「日本の漁業がクリエイティブに進化する絶好の機会」であると確信しています。過去の成功体験に固執せず、新しい海の恵みを受け入れて技術を磨く漁業者たちの姿は、変化の激しい現代社会を生き抜く私たちにとっても、大切な示唆を与えてくれるはずです。

これからの沿岸漁業は、個々の努力だけでなく、地域が一体となって付加価値を高める協業の時代へと突入するでしょう。2019年12月02日というこの転換点において、私たちは海の異変を嘆くのではなく、新しいブランド魚を味わい応援することで、未来の食卓を支えていくべきではないでしょうか。進化し続ける北の海から、今後も目が離せません。

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