2019年11月06日現在、日本の就職活動シーンでは、かつてないほどの「コンサルティング業界ブーム」が巻き起こっています。一昔前までは、ごく一部の極めて優秀な層だけが門を叩く特殊な世界という印象でしたが、今やその人気は驚くべき広がりを見せています。
実際に現場からは、悲鳴に近い声も上がっているようです。外資系戦略コンサルの代表格であるベイン・アンド・カンパニーでは、ここ2年で志望者が1.5倍に膨れ上がりました。別の企業では、わずか5人の採用枠に対して4000人もの応募が殺到したというから驚きです。
SNS上でも「今の就活はコンサル一強すぎる」「とりあえずコンサル、という風潮に違和感」といった声が散見されます。しかし、この熱狂は単なる一時的な流行ではなく、学生たちが抱く「将来への切実な不安」の裏返しであると私は分析しています。
「MBB」から「総合系」へ、主役の交代と採用枠の劇的拡大
近年のトレンドとして見逃せないのが、アクセンチュアに代表される「総合系コンサル」の躍進です。以前は「MBB」と呼ばれるマッキンゼー、BCG、ベインといった戦略特化型の企業が頂点に君臨していましたが、2019年卒あたりから流れが変わりました。
ここで専門用語を解説しましょう。「戦略コンサル」とは、企業の経営陣に対し、中長期的な事業計画やブランド戦略を提言する、いわば「軍師」のような存在です。対して「総合系コンサル」は、戦略立案だけでなく、ITシステム導入や人事制度の改革など、実行まで担います。
特に最近は、AI(人工知能)などの先端技術を導入したい企業が増え、現場を支える人材が圧倒的に不足しています。その結果、総合系では新卒採用枠が300人規模にまで拡大しており、これがGMARCH層や日系大手志望者をも取り込む大きな受け皿となっているのです。
「メガバンクよりコンサル」を選ばせる、21年卒の危機感とは
2021年卒を控えた学生たちがコンサルに惹かれる最大の理由は、ずばり「汎用的なスキルの習得」です。かつて安定の象徴だったメガバンクが、リストラや採用削減のニュースに揺れる中、学生たちは「会社」ではなく「自分自身の能力」に救いを求めています。
「どこでも通用する武器を身につけることこそが、真の安定である」という考え方が定着したのでしょう。起業を見据えて、圧倒的なスピードで成長できる環境を求める東大院生も少なくありません。若いうちに厳しい環境で自分を鍛えたいという意欲は賞賛に値します。
しかし、編集者としての私見を述べさせていただけるなら、この「スキル至上主義」には危うさも感じます。コンサルはあくまでクライアントの課題解決が仕事であり、自己成長はその副産物に過ぎません。手段が目的化していないか、今一度冷静に見極める必要があるでしょう。
コメント