中東の安全保障を大きく左右するアメリカ軍の動向に、世界中から熱い視線が注がれています。2020年01月09日現在、米国は過激派組織「イスラム国」(IS)の壊滅を目指し、イラクをはじめとした中東地域に広大な軍事ネットワークを敷いているのです。この緊迫した状況に対してSNS上では、「地域の安定には不可欠だ」という声が上がる一方で、「かえって緊張を煽っているのではないか」といった懸念も入り乱れ、非常に大きな議論を巻き起こしています。
そもそも米軍とイラクの間には、一筋縄ではいかない複雑な歴史が存在することをご存知でしょうか。かつて2003年に始まったイラク戦争でフセイン政権を崩壊させた米国は、現地に軍を駐留させました。しかし、この動きは「事実上の占領ではないか」という強い批判を浴びる結果となります。さらに、この駐留が武装勢力によるテロを誘発する一因になったとも指摘されており、紆余曲折を経て2011年に一度は完全撤収を完了させていたのです。
風向きが変わったのは2014年のことでした。急激に勢力を拡大したISを掃討するため、当時のオバマ政権は軍事顧問の派遣に踏み切ります。ここから段階的に介入を強めていった米軍は、現在5000人規模の兵力を現地に留まらせるに至りました。彼らはイラク軍への助言や支援を行うだけでなく、世界各国が連携してテロ組織に対抗する枠組みである「有志連合」のリーダーとして、治安維持の主導権を握り続けている状況です。
イランを牽制する巨大なチェス盤!湾岸諸国に広がる米軍ネットワーク
現在の米軍の役割は、単なるテロ組織の掃討だけにとどまりません。中東の多くの国々が安全保障上の最大の脅威とみなしている「イラン」という存在を、強力にコントロールする防波堤としての任務も帯びているのです。緊迫化する情勢を反映するように、2019年07月にはサウジアラビアへの駐留再開を発表するなど、米国はチェスの駒を動かすように部隊の配置を巧みに最適化させています。
この包囲網は非常に強固なものです。石油輸送の要所であるペルシャ湾を睨むように、バーレーンには米海軍の要である第5艦隊の司令部が置かれています。加えて、隣国のカタールには巨大な空軍基地が構えられており、空と海の両面から圧倒的な軍事力を展開しているのが現状でしょう。SNSでも「これほどの布陣があれば抑止力になる」という意見と、「一触即発の危機だ」という警戒感が真っ向から対立しています。
編集部としては、この米軍の駐留はテロの再燃を防ぐ「必要悪」であると同時に、対立を固定化させる諸刃の剣であると考えます。米軍という絶対的な力が抜ければ再び混沌が訪れる可能性は高いですが、力による威嚇だけでは真の平和は訪れません。国際社会を主導する米国が、軍事的な圧力だけでなく、いかにして対話の窓口を開き続けることができるか、その外交手腕こそが今後の最大の見どころになるに違いないでしょう。
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