【物流危機の現在地】消費増税でトラック運賃が頭打ち?ドライバー不足でも荷動きが鈍化する深刻な理由に迫る

トラック物流業界では慢性的なドライバー不足が叫ばれ続けている一方で、現場からは「荷物の動きが鈍くなっている」という気になる声が届いています。景気の先行きへの不透明感が漂う中、実際の輸送現場や運賃の動向はどうなっているのでしょうか。今回は、荷物輸送のマッチングサイトを運営するトラボックスの吉岡泰一郎社長に、足元の状況と今後の見通しについて詳しくお話を伺いました。

インターネット上のSNSでも、この問題は大きな関心を集めているようです。「ドライバーが足りないのに荷物も減るなんて、運送会社の経営はますます厳しくなるのでは」と、業界の先行きを心配する投稿が多く見られます。また、現役のトラック運転手とおぼしきアカウントからは、「確かに最近、高速道路が以前よりもスムーズに流れている気がする」といった、現場のリアルな実感を物語るような書き込みも散見されました。

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消費増税の壁と静まり返る主要品目の輸送

吉岡社長によると、2019年10月1日に実施された消費税率の引き上げ以降、運送業界からは活気のある景気の良い話がほとんど聞かれなくなったそうです。同社が扱う2019年12月の荷物情報数は15万8297件に留まり、前年の同じ時期と比較して約14%も減少しました。増税による2%の引き上げ幅そのものよりも、税率が10%という大台に乗った事実が、人々の購買意欲を冷え込ませているのかもしれません。

さらに、この年末年始はカレンダーの並びで休日が多かったため、12月の荷物が事前に分散された可能性も指摘されています。加えて、12月23日が祝日ではなくなったことで、業務の平準化が進みやすかったという側面もあるでしょう。しかし、足元では1日の荷物情報数が3000件を下回る日もあり、荷動きの勢いは今ひとつです。物流のバロメーターとなる首都高速道路が混雑していない点も、それを裏付けています。

荷物の種類別に見ても、全体的な停滞感が漂っているのが現状です。具体的には、家電製品や自動車関連の輸送が鈍っているほか、一時期は東京五輪・パラリンピックに向けて活況を呈していた建築資材の需要も、現在はすっかり落ち着きを見せています。一方で、2019年秋に千葉県などを襲った豪雨や台風の被災地では、食料品や衣類、復興用の建築資材といった局所的な輸送依頼が一時的に増加している状況です。

頭打ちになる運賃とドライバー不足の構造的課題

荷動きの減少は、運賃の価格設定にも影を落としています。2019年12月の東京から大阪間における運賃をみると、4トントラックの片道空き便(復路の有効活用便)は5万6804円と前年同月比で5.2%下落しました。10トントラックは8万0444円とほぼ横ばいですが、全体として運賃の引き上げが難しい局面を迎えています。ただ、仕事が減ると運送会社は同社のサイトで新たな荷物を探すため、会員数は逆に増加傾向にあります。

厚生労働省の発表では、2019年11月の「自動車運転の職業」における有効求人倍率は3.28倍を記録しました。これは、全職種の平均である1.48倍を大きく上回る水準です。有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標で、この数字が高いほど激しい人手不足であることを意味します。若者の車離れや、かつてのように長時間労働で高収入を稼ぐことが難しくなった労働環境が、若年層の流入を阻んでいます。

今後の市況としては、3月の引っ越しシーズンや公共工事の増加、企業の決算期が重なる繁忙期に向けて一時的な運賃の上昇が見込まれます。しかし、中東情勢の緊迫化に伴う燃料費の高騰リスクなど、懸念材料は尽きません。運送会社は人件費や燃料コストの上昇、車両の老朽化への対応という重い課題を背負っています。荷主側がこうした物流の危機的状況を正しく理解し、適正な運賃を受け入れる姿勢が不可欠です。

運送業界が直面するこの複雑なジレンマに対し、私は単なる市場原理の冷徹さだけで片付けてはならないと考えます。日本の生活インフラを支える物流網が崩壊してしまえば、私たちの便利な暮らしそのものが成り立ちません。燃料費や人件費のコスト上昇分を、運送会社が適切に運賃へ転嫁できるよう、荷主企業だけでなく、私たち消費者もまた、物流の価値を再認識してコストを分かち合う覚悟を持つべきではないでしょうか。

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