日本中を震撼させた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件をめぐり、裁判は新たな局面を迎えています。殺人罪などに問われている元施設職員の植松聖被告の裁判員裁判が、2020年1月24日に横浜地方裁判所で開かれ、ついに被告人質問が始まりました。法廷での植松被告の発言は、傍聴席のみならず日本全体に大きな衝撃を与えています。SNS上でも「言葉を失う」「どこまで身勝手なのか」といった、被告の態度に対する激しい憤りの声が数多く噴出している状況です。
この日の公判で最も注目を集めたのは、被告と弁護側の主張が真っ向から対立するという異例の展開でした。植松被告は「自分には責任能力があると考えている。弁護側の無罪主張は間違っている」ときっぱりと言い放ったのです。ここでいう責任能力とは、自分の行為の善悪を正しく判断し、それに従って行動をコントロールできる能力のことを指します。法律上、この能力が完全に失われている「心神喪失」と判断されれば刑罰は科されず、著しく衰えている「心神耗弱」であれば刑が軽くなる仕組みです。
弁護側は、植松被告が当時大麻精神病による心神喪失、あるいは心神耗弱の状態にあり、刑事責任を問えないとして無罪を争う構えを見せていました。しかし、被告本人がそれを真っ向から否定した形です。さらに被告は「責任能力がなければ即死刑にすべきだ」という、法律の根幹を揺るがすような独自の主張を展開しました。これにはネット上でも「裁判の仕組みすら理解していないのではないか」と、その独善的な思考回路に対する困惑と批判が渦巻いています。
植松被告は、これまでの差別的な持論も悪びれることなく繰り返しました。「意思疎通のとれない重度障害者は安楽死させるべきだ」と語り、社会保障問題などの多くが彼らによって引き起こされていると主張しています。弁護人から障害者の家族の気持ちを問われた際も、守りたい気持ちは分かるとしながらも「お金と時間を奪っている限りは愛して守ってはいけない」と発言しました。家族の深い愛情すら否定する冷酷な言葉には、強い拒絶反応を示す人が絶えません。
過去の言動から紐解かれる歪んだ正義感と今後の裁判の行方
植松被告は2012年に同施設へ就職しましたが、徐々に障害者への差別的な言動が目立つようになり、2016年2月には衆議院議長公邸に襲撃を予告する手紙を持参しました。その後、相模原市によって他人を傷つける恐れがある人を強制的に入院させる「措置入院」の手続きがとられたものの、同年3月に退院し、同年7月26日に19人の命を奪い26人に重軽傷を負わせる惨劇を引き起こしたのです。かつては入所者を「かわいい」と話していたデータもあり、数年で急激に思想が歪んだことが分かります。
これまでの公判では、被告が友人に「重度障害者は人間じゃない。政府の代わりに俺がやる。俺は先駆者になる」と語っていた凄惨な事実も明らかになりました。検察側はこれを「病的な妄想ではなく単なる特異な考え方」であり、計画的な犯行から完全な責任能力があったと厳しく追及しています。被告人質問は計4日間にわたって予定されており、どのような経緯でこれほど凄まじい差別感情が形成されたのか、精神状態の真実がどこまで解明されるか、今後の審理から目が離せません。
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